Diary

ゲラ変態

ツバクロ一家受難続く。
犬の水を替えて打ち水をしてやるために外に出たら、ツバメの巣が落ちていた。死傷者見当たらず。もう巣立ちの時期ではあった(4羽、5羽で飛んだりしている)し、わからないので変な手出しや擬人化はしたくないけれど、今度詳しい人に行き会ったら聞いてみたいと思う。

『ばかもの』文庫初校ゲラがまた仕上がっていないが、『妻の超然』単行本初校ゲラ(「作家の超然」除く200枚分)が到着。2/3の量なのに、ずっしりくる。
雑誌のゲラは山のような問題点を潰しつつ、単語や文体をギリギリまで磨いて行く作業で、文庫のゲラは基本的にはルビと改行を中心に全体のバランスを見る。単行本のゲラは雑誌のときには問題になっていなかった細かな整合性、リアリティの案件が出てきたり、併禄するほかの作品との表現部分の統一のことなどあって一番悩みが深いかもしれない。
でも文章というのは不思議なもので、そのときにしか、してやれないことがある。

直す直さないは、作家によってすごく違うらしくて、私は雑誌の段階で変態じゃねーかってくらい力入れるタイプです。


昨日の夕方

ツバクロのヒナが一羽、落ちて死んでた。
どうしてかはわからない。
「おまえらか」
と言ったら、犬は違いますと言った。ふん、と一瞬だけニオイを嗅いでそれっきり。
関係あるとしたら、済まなさそうな顔をするからすぐわかる。
気持ち悪くもなんともなくて、あーあーと思いながら、でっかいスコップで埋めてやった。
ここに来てから、ふつうにいろんな鳥の死骸を見るようになった。
そりゃあ、生きてるから死ぬわな。
むしろ、街にいたときに見なかったことの方が不思議だと思うようになった。カラスでも、スズメでも。

けれど、生きてるツバクロたちは犬どもと同じように嬉しそうだ。
私はちょっと、人に余計なことを言ってしまって後悔して凹んでいる。


北の空に祈る

一日一食野菜と冷たい麺類しか食べず、昼は冷房の真下で仕事をしながら麦茶とかばっか飲み、夜になって酒を飲んでもつまみは食わない。
やろうと思ってやってたわけじゃないけれど、見事な夏ばての出来上がり。

その上「作家の超然」の再校ゲラを終わらせて(百枚分の単語と接続詞を全部頭っから疑ってかかるようなこまっけぇ仕事)すっかり気が抜けた。

これはちょっとイキモノとして危機的な状況、と大袈裟に考えた割には、ケンタッキー行ってチキンを三個むさぼったらかなり回復。簡単すぎる。
やっと少しだけ元気の目盛りを戻したところで、庭から生きてるだけで楽しそうな者どもの4つの目が散歩を催促している。

少しでも涼しくなりますようにと祈るような気持ちで北の空を見て、それから東京電力の雨量、落雷情報も見るんだけど、今んとこはだめげだ。


夏のメモ

さるすべりの花が咲き始めた。
大好きな樹なのに、花もキレイなのに弘法も筆の誤りみたいな名前。
同じ理屈で、浅間隠山なんてのも、立派な山なのに所得隠しの仲間みたいで気の毒だ。

私がうろうろしないあたりの軒先にちゃっかり巣を作ったツバメ夫妻。
ヒナたちはもう、怪獣ではなく立派にツバクロっぽくなってきている。
毎年おいで。

こんなに暑いのに蝉はまだ。
東京みたいに7年たったら上にマンションなんてことはないから、いるはずなんだけれど、彼らの時計が私にはわからない。
でも山に近いから、出たらいろんな種類がいっぺんに鳴く。

関東内陸部と言われると猛暑日本一な感じだが、またの名を北関東と言うので朝晩はざまあみろってくらい涼しい。
榛名の空気を洗ってくれた夕立のおかげ。
問題はそれでも夏バテして、食えねー奴になってる私だけ。


ダカールが羨ましい

昨日は、リニューアルした高崎/問屋町のアサヒ商会(Hi-NOTE)に行ってきました。老舗の事務用品、文具店です。
広大な店舗で品揃えがすごいだけじゃなく、とにかく見てて楽しい。かっこいいものや面白いものがたくさんある。
知人であるお店の人の話を聞いたら、スペースを利用してこれからまだ面白いことをいろいろ考えているそうです。
自分の町に、こんな元気な店があることを知って、本当に嬉しくなりました。

前橋の昨日の最高は38.5℃。今日の予想も見なければよかった。夕立だけが楽しみ。(これを書いている朝7時はまだクーラーいらないですが)
ゲラさえ早く届けば、それ持って榛名山か北軽あたりに逃げちゃいたいとこだけど、今日は厳しいかも。

犬どもは信じられないほど元気です。昨日氷をくれようとしたら、いりませんと言われた。おまえら本当はセネガル犬だろ。(しかしダカールの本日の最高気温は29℃でここより遥かに涼しいのだ)


がぶ飲みヴィシソワーズ

夏バテで食えなくて、昨夜はとうとう高級瓶詰めのエディアールのヴィシソワーズ(冷たいイモのスープ)に手をつけた。イモだからお腹にもたまるし、味は濃いけどおいしくてすうっと入る。ああ助かったと思った。
夏風邪や鬱、歯痛の方などへお見舞いにおすすめです。(ちょっと高いですが)伊勢丹で売ってます。

『ばかもの』文庫本のゲラを一通り読んでみたけれど、完全に自分から離れてしまっていることに驚く。描写なんかも、あらこんなこと書いてたんだって感じ。自分が書いた感がない、というのはそれはそれでいいことかもしれない。
作者がこんなこと言っていいのかわからないけれど、もう自分の中で額子は内田有紀さんのイメージになってしまっている。内田さんは小説の「読み手」としても凄い方だから、余計そうなんだと思います。

新潮新作がメモ帳で20ページを越えてしまったので、そろそろパソコンにA稿を打ち込まないと収集がつかなくなる。
タイトル未定、テーマもまだ本物とは思えない、エピソードもまだ。比喩がほんの少し。
なにそれ、と思うでしょうけれど、登場人物の声だけははっきりしていて、殆どが会話のメモ。
その声の感じだけは逃がさないように書いておかないといけない。


ワル大仏

昨日、ゲラの速達を出しに本局まで行ったついでに眼鏡とサングラスを作った。
去年の手術以降、乱視も減ったし視力そのものも(老眼とはまた別らしい)向上している不思議と、不便。
もう長いつきあいの店なんだけど、
サングラスはどういうのがいいですか? と聞かれ、「ワルそうなの」と答えたら笑われた。
レスザンですごいかっこいいフレームがあったので、出来上がったら「ワル大仏」みたいな顔でうろうろします。

昨日今日と、見事に夏バテ。キライなクーラーのせいもあって食欲もなし。
(今年はクーラー5回が目標とか無理。もう3回使った)
久しぶりに一日寝てようと思います。

犬もばててるかと様子を見たら、がっつり寝ていました。
それでもズルい方のやつはまだ日陰から出てきて「参りましたねえ」という顔をしたけれど、シロクロは「いやー日なたで寝ちゃいましたよ」。お願いだからバカも休み休みやってくれ。


犬にコールマン

「作家の超然(新潮 8月売り)」初校ゲラやっと完成。
次はもっとぶっとんだの書きたいと思ってます。

手順としてはこれを入校して、再校ゲラ待ち。
その間に『ばかもの』文庫本初校ゲラをやる。
ところが『妻の超然』単行本初校ゲラが26日には出て来る。
自分でもわけわからんが、どうやら月末あたりに三つゲラが揃ってしまう不吉な星回り。
とはいえ、原稿と違ってゲラの場合は集中とリセットの繰り返しなので、そんなに忙しい感じではない。

西小山から高崎のアパートに来たとき、赤いキャンプ椅子は仕事椅子として使ってました。意外にかさばるのでキャンプからは引退して、ここに引っ越してからはベランダで毎日座っていたけれど、ついに布がやぶけた。私の体重も重いけれど、その上に15キロの犬がどかんと飛び乗ったりするから、かなりハードな老後であった。

タープのように日よけにつかっていたすだれも昨日崩壊。犬にコールマンは贅沢だが日よけがないとかわいそうなのでヘキサゴンタープを張ってやる。広い日陰ができたので、機嫌よさそうにあっちでごろごろ、こっちでごろごろしております。(そんなにヒマなら本局行って郵便出してくれよ)


夏もはたらくキリギリス

犬の散歩で毎日行き会う方から、今採ったばかりのきゅうりをたくさんいただいた。いいきゅうりって、スイカみたいにずっしり重い。
まずはワイルド食い。やばいよこれ、塩だっていらない……フルーツかって思うくらい甘くて爽やかでみずみずしくて歯ごたえがいい。
キリギリスと呼ばれてもカッパと呼ばれてもかまわないほどこの時期、きゅうりが好きです。

そのあと町内の集会所の掃除でどっぷり汗をかく。そもそも集会所自体が懐かしいような空間だけど、久しぶりにダイヤル式の黒電話見て、仲良しの近所の奥様と和みました。

一休みして、午後「新潮」のゲラを仕上げてしまおうと思っています。
既に文庫のゲラも届いているので。


マイペースの夏はどこに

先日打ち合わせをした新潮の新作が、具体的に動き出した。
会話と、登場人物の声が聞こえてしまった。えーっこいつかあって感じで。
話の筋なんかまるでわからないけれど、雰囲気が掴めてしまった。
まだ来月掲載の初校ゲラも終わってないのに早すぎないか。
来ちゃったってことは書かなくちゃいけないってことだ。ゲラだけしっかりやる(そして適度に遊ぶ)筈のマイペースの夏はどこに。
もちろん、気が抜けちゃって何も書けなくなることを思えばありがたいことなんだけど。

榛名神社のことを大いに語ったら、妙義神社と貫前神社もすごくいいよと言われ、友人に連れて行ってもらえることになった。
昨日はお礼だけで何もお願いしてこなかったので、今度の仕事のことをお願いして参ります。それしかないのかって? ないんだよ。


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