Diary

珍しく文章の書き方なんて

新潮連載の「薄情」を書いています。そろそろ大詰めが近づいています。なんとか今年中に本にしたいです。
私の小説の書き方は変なので、説明しても意味不明だろうし誰の参考にもならないと思いますが、連載小説を書くときはいつも同じプロセスです。
 
今はエピソードや言葉がばらばらに浮遊している水槽の底に自分が沈んでいます。連載だから出来るやり方ですが、この水槽を作るのに十日やそこらかけています。その間は別の仕事と並行でやっているし、手書きのメモ以外は一切書きません。
水槽のなかが作品の環境なので、そこに入ってしまえば、あとは書くだけです。まだ水が冷たく感じて動きも悪いし、目も開けてられないし、底なので光も届きません。でもその環境のなかで何日か登場人物と一緒に暮らしていると、一日中書いているのに同じだけ削るから枚数がまったく増えない日がでてきます。泳いでいて息ができなくて苦しい感じです。登場人物はそんなに苦しそうではなく、でも一緒に泳いでいると思います。
そこを脱してやっと水面が見えてきたらいつの間にか、その回は書き終わっていて、出版社に原稿を送ったら全力でそれまでに書いたことを忘れます。覚えてると冷静にゲラが読めないからです。
あとはゲラを二回、隙間がなくなるほどいじくりまわします。リズムとかテンポを整えるのがここの作業で、感情は殆ど伴いません。分解と接合を繰り返しているこの部分だけは、仕事や趣味を通り越して変態だと自分でも思います。
なんだかんだと、こんなやり方でずっとやってます。
来月は掌編書きたいです。掌編はもっとわけわからない書き方なので今は説明できないです。そのうちそういう機会もあるかな。
 
大学で教えてる取材実習の方がずっとわかりやすいと思います。理論じゃなくて方法論教える授業なのですが、私が環境を整えると、あとは学生が自分でいろいろ試して発見してくれるので、こっちが嬉しくなります。


武尊山山開き

今日は、尾瀬の郷親善大使として、武尊(ほたか)山の山開きで、片品村に行ってきました。
この時期、平野部より若くて淡い緑のなかを黄色いクルマで走るのは本当に気持ちいいです。これから夏にかけては「ばかもの」にも書いたあの美味しい片品のトマトが楽しめます。
夏山リフトはスキーで乗るリフトと同じものなのに印象は全然違っていて、静かに滑空しているみたいで、もっとずっと乗っていたいと思いました。リフトを降りれば、レンゲツツジが満開でした。
 
帰り道で、友人の仕事場に寄って喋っていたら、別の友人のアトリエに行こうということになり、作品を見せてもらったり本を借りたり、暑いから今度の宴会はBBQより冷たいおでんにしましょうとかいう話になったりして(お互い公共交通機関がないから宴会は常に泊まりがけ、次回はウチが会場)結局夕立が来るまで喋っていました。夕立のなかをクルマまでダッシュするのがなんだか懐かしい感じでした。
なんて言ったらいいかわからないけど、友達はアナログでいいんだなと思いました。


「イトボカの外になんか出しません♩」

限定20名のため、7月25日分は完売しています。すみません。
最近こんなことを企てていますというご報告です。
「イトボカ」という三人組で、前橋でライブやります。絲山とBOSSANOVA CASSANOVAのトーク&ライヴです。
  
群馬や静岡以外では知らない方ももしかしたらいるかもしれないので、BOSSANOVA CASSANOVA(ボサカサ)のこと。
めちゃめちゃかっこいいんです(曲が)。お洒落なんです(歌詞も)。ギターも歌もすてきなんです。
でも喋ると下ネ……いや、なんでもありません……すごく楽しいですよ。
私も小説とエッセイのギャップがありますが、そんな感じです。ラジオではいつもセットで語られていましたが、共演は初めてです。
 
今後は、トークやライブ、文芸イベントも積極的に行っていきたいと考えています。
都内ではなかなか出来ないことですが、読者やリスナーの方々と一緒に飲んで食べて喋って、みんなで楽しめたらいいなと思います。
また次が決まったらご案内します。そのときはぜひ遊びに来て下さい。メールでの完全予約制の受付になると思います。
 
 
以下は会場Musicafe BEE HAPPYさんのFACEBOOKより、承諾を得て引用します。ここんちは食べもんも美味しいです!
 
   * * *
  
ついに禁断のパンドラの箱が開け放たれます!
いや どちらかといえば開くのは浦島太郎の木箱ですな〜!
 
「絲山秋子+ボサノバカサノバトーク&ライヴ〜イトボカの外になんか出しません〜」
 
*7/25 土曜日
*13:30 開店 14:30 開宴 (予)
*チャージ ¥5000 (フリードリンクつき)
 
*出演:イトボカ
 
メンバー
絲山秋子(ベース担当)
吉澤秀人(BOSSANOVA CASSANOVA・髭担当)
パピヨンSHO1(BOSSANOVA CASSANOVA・残尿担当)
 
あの芥川賞作家 絲山秋子とシティポップスの覇者 ボサノバカサノバ 異色の組み合わせによる「呑み会ライヴ」です。前半 毒舌弾丸トークショー 後半はなななんと御三方によるセッションかっ!?
 
絲山秋子プロフィール
「イッツオンリートーク」2003 文學新人賞
「袋小路の男」2004 川端康成文学賞
「沖で待つ」2006 芥川賞
現在 群馬県内在住にて執筆活動中
かなりのアウトドア派 ボサカサとは大の仲良し
 
(問・ご予約)
BEE HAPPY
beehappy.p4p@gmail.com
Tel 05055808132
〒371-0013 群馬県 前橋市前橋市西片貝町4丁目27


高崎経済大学の非常勤理事に就任することになりました。
理事会で仕事をさせていただくことは、地元への感謝の気持ちを別のかたちでお返ししていく機会だと考えています。今後ともご指導よろしくお願いします。
 
上毛新聞社で2年間連載していた「街道を行ぐ(けぇどをいぐ)」が、本になります。
群馬の国道、県道など「道」を切り口に、黄色いクーペフィアットで走り回り、あちこちお邪魔してお話を聞いて書いたコラムです。
なんといっても写真が豊富ですばらしいです(たまに私やクルマも映ってますが、それ以外も気合い入ってます)。いわゆる観光ガイドとは違ったかたちで、県外の方にも群馬の良さが伝わる一冊になればと思います。
これから書き下ろし取材やゲラの直しなど進めていきますが、発売日等決まりましたら「たんびたんびに」お伝えします。
 
今月は富山取材や、武尊山の山開きなど、個人的にも楽しみな仕事があって、もはや何屋かわかりませんが、昨日は文藝の来月7日売り「小松とうさちゃん(後編)」を書き上げました。


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