2024/12/30 月曜日
第21回絲山賞
2025年の絲山賞は大滝ジュンコ著『現代アートを続けていたら、いつのまにかマタギの嫁になっていた マタギ村・山熊田の四季』(山と渓谷社)です。
頼もしくてすてきな女性が書いた面白い本として読むことももちろんできますが、いろいろ考えながらゆっくりと読み返してもとてもいいのです。
山の集落での暮らしは手間がかかります。体力もいる。著者はそれを手応えとして楽しんでいます。とても忙しいけれど、同時に大きな時間のなかをゆったりと生きているようにも見受けられます。
著者は自分の手と直感を信頼して動いてみる人です。もちろん人の話もしっかり聞くのですが、決して他人の言葉では語らない。真摯なものづくりの人であると同時にとても信頼できる書き手だと思いました。
生活と暮らし、情報と知恵、イメージと直感、そういったものの間に、自分が見失っていたとても大切なものがあるような気がします。読む人によって響く場所も異なることでしょう。気に入った場所に立ち返るように私は何度もこの本を読み返し、山熊田のマタギ村を訪れるようになると思います。