Diary

バーネット・ニューマン展

川村美術館でバーネット・ニューマン展を見た。でかくてかわいくて明快で、その前にいるだけで楽しい。ポンピドーで大好きになった“Not here, There”も来ていた。懐かしかった。

一緒に行った人と、いろんな話ができたのもよかった。それに、佐倉の遠さをあまり感じなかった。


朝から寸胴鍋でけんちんを作る。なにしろ家が寒いので汁物が嬉しい。実家のけんちん汁と言えば醤油仕立てだったけれど、群馬のけんちんは味噌仕立て。最初は豚の入っていない豚汁だと思ったが、今ではこれが当たり前。

三日前くらいに新潮新作で突拍子もないことを思いついた。どうなんだろうと悩み続けたが、やっぱりそうらしいと思えるようになったので、今日やっと原稿に書き始めた。

夜、「末裔」の参考文献リスト。本と引用のメモは段ボールに全部入れてあるんだけど、まとめるのを忘れていた。


「犬の超然」

私の父から発注のあった「犬の超然」が書けたと牛が言いました。

「犬の超然        絲山 牛

さむい朝です。お姉ちゃんは穴をほっています。ハトがとび立ちました。わたしは、うす笑いを浮かべて立っています」

 

私「牛くん、これじゃちょっと、なんというか君がバカみたいに読めるよ」

牛「超然って意味がわかりませんでした」

私「私はもうその言葉は飽きたから、世田谷に行ったときにおじいちゃんに聞いてごらん」

父にはメールを送りました。


浅間にうっすら雪が積もっていた。寒いわけだよ。

少し疲れていたので、今日は昼寝しました。


牛の超然

実家に電話したとき、父に言われた。「牛くんが書いた『犬の超然』が読みたい。茶色じゃないぞ。牛だぞ」。牛犬にそう伝えたら、激しくシッポを振りながら鼻をぺろりと舐めて、まんざらでもない様子。確かに、私はいつも作者と主人公は別物と言っているのだから、牛が自分とは逆の「超然」を語ったって問題ない。だけど、茶色に小説を書いてなんて言おうもんなら、「犬をバカにしてるんですか」と瞬時に却下されると思う。

今日は、絲山賞候補の絞り込み(そんな大層なものじゃありませんが)をやって、役所、銀行、FM。おすすめ本は勝崎裕彦著「ことわざで学ぶ仏教」、セレクションはラモーンズ「ブリッツクリーグ・ボップ」、エンディングはチェアメン・オブ・ザ・ボード「パッチーズ」。

日曜も連休も正月も関係ない仕事ではありますが、それにしても誕生日にゲラを持って講談社来群。クリスマスは新潮社と取材旅行。もしかして、そーゆー日は絶対に予定が入ってないってばれてますか。そうですか。


12月こそ無理しない

足利(耳鼻科)通院。冷え込んだときだけ傷が気になるけれど痛くて困るというほどではないし、食べたときの痛みは1/10くらいになった。術後1年過ぎてからほんとに楽になりました。

『絲的炊事記ー豚キムチにジンクスはあるのか』もいよいよ文庫化。11月末が『末裔』の再校ゲラ締切、12月は『炊事記』の文庫初校ゲラが入って来ることになる。マガジンハウスから講談社文庫へと版元が変わるため、確認事項がたくさんあって厄介だろうと思ったらあっさり、電話で済んだ。

本が出るとか締切とか、来年早いうちの仕事のことはわかるが、全然急ぎじゃないことに関してもここ数日で「年内に一度」「年内にお会いして」と立て続けにメールが来て、どうしちゃったのかと思う。なぜ1月じゃまずいのか。12月といえば掃除したり餅つき大会に出たり伝票まとめたり物が壊れたり出張したりお正月のパンツ買ったり、誰だって慌ただしく感じるんだから無理しないでおきましょうと申し上げた。


まだ移動中

1℃まで下がって初霜、初氷。今朝は快晴。

ハンガリーの客人とベランダで朝ご飯を食べたら、まあ茶色が憎たらしい、ひがみっぽい顔をすること。

午後の打ち合わせの前に時間があったので、古墳に案内した。1500年前の前方後円墳だと言うと彼女はこう言った。「おー、まだハンガリー人はハンガリーに着いてないです。馬に乗って移動中です」なんだかおかしくて、不思議でもある。そして1500年後のここに私たちがいることも。

急に寒くなったので外の虫がどこからか家に入って来る。ウチにだってちゃんと網戸はあるんですが、でっかい蛾を追い出して、帰って来て廊下で芋虫をふみつけた。


びっくりするほど深い穴

「茶色が深すぎる穴を掘っている!!」と近所の美人娘から通報あり。そうなんです。温泉、埋蔵金、レアアースで一山当て、さらに掘り抜いて南米に亡命するつもりだったみたいです。ちょっと困る場所だったので、こちらも気がついてから少しずつ埋めてました。ただ埋めるんじゃまた掘るので、石ころとか枯れ枝に茶色のキライなもの、つまり落ちた柚子とか、牛くんのうんことかを混ぜてます。ここ掘れワンワンの逆パターン。真剣に犬と知恵比べしている自分に気がついた瞬間、恥ずかしかった。

午前中に12月30日までのFMの選曲を終了。

今日、明日とハンガリー人翻訳者来宅。新しい連載小説のことで相談、参考テキストについて意見交換。予報を見たら今夜は3℃まで下がるとのこと。寒い家ですが、すき焼きと柚子湯であったかく過ごします。明日は群像編集者交えて打ち合わせ。


下半身共有ぶっかけ飯

アルファ146まっさか凄い。どうしてこれが8万キロも走ったクルマなのかと思うほどぴしっとしていて、小気味良く走る。低速で走っても快適。最近の10年落ちは違うなあ。

以前一度だけ都内で運転させてもらったときは、もっとクセがあってクラッチが難しいと感じたけれど、今回はすぐ慣れた。「アルファサウンド」なんて恥ずかしい言葉は口にしたくないが、確かに音もすばらしく、あまりの気持ち良さに夜通し走り続けたい気分になったがアンデルセンの「赤い靴」を思い出してやめた。

メーカーが違うといっても、146もアルファ145もスパイダーもクーペ・フィアットもあの時代のものは殆ど何もかもティーポベース(下半身共有)なので、セネガル飯もストロガノフもカレーも、違う食べ物ではあるけれどみんなぶっかけ飯だよなあみたいな感じです。わけわかんないこと言ってますか。

前から見たら、文庫版「スモールトーク」の表紙の青い145と一緒。後ろがいんちきセダンみたいなハッチバックなので型番が違います。

今朝、散歩に出るとき、私のどやどや光線を嗅ぎ取っていた茶色がクルマを見て「!」と笑った。それからそうっと、ナンバーのにおいを嗅いだ。牛はクルマなんてキライなので無反応。


ティーポから146へ

「離陸」のプロットを書いた。今まではプロットなんて書いたことないんですけど(ダーティ・ワークの相関図も末裔の系図も連載が軌道に乗ってから書いた)、これは今までのものより長くてややこしい話なので。

これからアルファ146を取りに行ってきます。頑張ってくれたティーポを手放すのは寂しいけれど。146のことはまた明日書きます。


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