Diary

日常におけるささやかな刺激

朝から菊屋に紙を買いに行く。紙とコーヒーは、店が休みの日と深夜に切れるものと相場が決まっている。ついでにちょっと町医者(内科)に寄る。内科なんてどこにあるのか全然知らないから元気なときしか探せない。体調はいいのだが気になることがいくつかあって、ある人に相談したところ今月中に医者に行く約束をさせられてしまった。明日には検査結果判明。早い。
大森図書館より、視覚障害者の方からオンリートークのテープ化のリクエストがあったとメールいただいた。書類が必要なので文春経由ですすめる。著作権については課題が多くあるとも聞くが、こういったリクエストについては純粋に嬉しいし、ボランティアの方にもお礼を言いたい気持ちになる。点字図書館(献本はしている)に入ったかどうか、今度おふくろに聞いてみよう。


六本木AXISに小川義文さんの写真展を見に行った(23日までとのこと)。NAVIで見たときとはまた印象が違ったり、改めて勢いや存在感を感じたりして面白かった。素人の感想だが、小川さんの写真にはそれぞれ密度の違った空気があるように思う。
今日は暑いらしいが、体が暑さに慣れてきたのか外出してもそんなに辛くはなかった。今まで住んだなかで断トツに暑かったのは名古屋だった。夏の夜が楽だったのは群馬だった。条件が悪かったのは埼玉で部屋数こそあったが3階建てのマンションの3階で西日が当たった。今は、日当たりが悪いのと、RC造ではなく木造ということと、部屋が狭くてすぐ冷房が効くのでそれなりにしのげる。ロフトの温度は高いが、眠剤を飲んでタイマー付きの扇風機をかければ一瞬で眠ってしまう。来年の夏のことなど知るものか。


締切の遠い方から

プロフィールの作品の部分が見にくいので更新。新しく好きな画家、というのを入れてみたが、その矢先、島村達彦さんが亡くなったことを知った。絵を味わうことを教えてくれた画家だった。ご冥福を祈ります。
行きたいところがあるのだが、小説が書けるので家から出られない。飯どころか煙草を買いに行く暇も惜しい。九州の話は取材から帰ってきて50枚すすんで、計150枚。年末締切のものがはかどるのに、月末締切のものが明け方にならないと動かないという困った状況にある。


無題

終日仕事。勢いで書いていたらあっという間に夜になってしまった。
エアコンのフィルタの掃除は一番嫌な家事の一つ。一日三箱煙草を吸っている人間の言うことじゃないが、肺に悪い。でもよく冷えるようになった。


なんとか通常モード

プリンタ不調で2時間つぶす。それからいつもの店に行って仕事。「海の仙人」(新潮)の再校ゲラを終わらせ、九州取材(中公)のメモを整理、群像の小説を途中まで。書きたいことが山のようにある。
来週以降、各社の打ち合せ、取材(単発)の予定が入る予定。さすがに新しく声をかけて下さった出版社には、お会いするのはもう少し後にして下さいと返事した。こんな状況で引越など出来るのか。出来るのである。会社員時代の転勤はもっと大変だったはず。どっちみちまだ先だし、要らないものをごっそり捨てて身軽になりたい。


突然段ボール

芥川も3度目ともなると、もはや見知らぬ人の葬式のように淡々としたものである。私としては、読者の方の心の隅にとどめていただけるというだけで、作品はもう十分に幸せな思いをしていると思っている。
この部屋に住み始めた時には無職だった。大屋さんにはその後も特に何も言わなかったが、いつの間にかばれていたらしい。引越の話をしに行った時にその話が出て、遅ればせながらオンリートークを進呈した。来月から部屋探しを始める。そんなわけで出版社各社に段ボール箱下さいとメールを発信。突然何だよって感じだろうなあ。


安全のしおり

いつも何となく飛行機に乗っていたのだが、安全のしおりを改めて熟読した。すると大変なことが書いてあるではないか。以下引用。
              ***********
            非常口座席のお客様へのお願い
非常口に接している列の座席にお座りのお客様には、万一の場合、緊急脱出の援助をお願いすることがございます。
援助の内容は、援助が必要となった時、以下のような項目の中から、乗務員が具体的に指示させていただきます。
■乗務員が非常口を完全に開放するまでの間、他のお客様を制止すること
■脱出シュート下において後から降下するお客様を援助すること
■「遠くへ逃げて」のように速やかに機体から離れて避難するよう声をかけること
■その他(必要に応じ、乗務員が具体的に指示させていただきます)
ご搭乗後、早い機会に座席備え付けの「安全のしおり」をよくお読み下さい。
(以上、JALスチュワーデスより貰った、非常口座席の乗客に渡すチラシより。裏面に英語版あり)
              ***********

私も非常口座席に座ったことはある。足が伸ばせて快適で、離着陸時には向かい合わせに座ったスチュワーデスがほほえむので、目のやり場に困っていた。しかしへらへらしている場合ではなかったのだ。万一とはいえ、パニックに陥った乗客を制止? そんなこと出来るのか。その他必要に応じて指示される? 一体何を指示されるのか。考えただけでどきどきしてくる。よく見れば安全のしおりの絵にも、確かに一般人とおぼしき人間達が「援助」にいそしんでいる様子が描かれている。えらいこっちゃ。
別件。毎回芥川賞のたびに落選速報を出してたんですが、どちらにしても報道で判るので、今回はここではやりません。今日は洗濯とか、今回の資料、メモの整理とか、この一週間凍結してきた各社の仕事などしつつ、適宜昼寝って感じになると思います。へばっているので残念会とかそーゆーのはなし。


九州最終日

この一週間「こんなの書かなくていいや」「うわ期待外れ!」ということが殆どなかった。東京で作って連れて来た登場人物たちは、しっかりと土地に結びついた。映像も目に焼付けた。いい取材はできたが、問題はそれをどう書いていくか、この土地の温度をどうやって伝えるかで、これからが仕事だ。詳しいことが何も報告できなかったですが、全ては来年刊行される本に注ぎ込みます。
家に帰ったら倒れてしまいそうなので、空港にて更新します。これから東京に戻ります。東京でもしばらく博多弁の出るかも知らんです。


九州七日目

今回の取材の最終目的地に到達。小説の設定は間違っていないという強い確信を得た。詳細については明日も引き続き取材。累計走行キロ数は1000キロを突破、多分明日には1200キロくらいになるんじゃないかと思う。1200キロというのは確か、東京-福岡間の距離じゃなかったか、うろ覚えやけど。今回は私が全て運転している。
ここでも元上司や仲間と宴会。迎えてくれる人がいることの有難さ、楽しさを味わった夜。東京では、食べ物の旨さをすっかり忘れていたのにこっちに来てからは食べるものが美味しくて仕方がない。


九州六日目

取材旅行というのは、自分と編集者が物見遊山をするのではなくて、背後霊のように登場人物をずっと背負っているから気が抜けない。奴らがいろいろ言うたびに車をとめてメモをとる。飯の時でも部屋に帰ってからでも相手をするが、この一週間、一つの小説だけに集中していいという環境をありがたく感じたりする。
それにしても道が悪い。宿泊地にて、同期と8年ぶりの再会。会うなり「おまえ、今日何キロ走ったんだよ」というのは、この間柄この状況この場所で何より正しい挨拶だと思った。ちなみに今日は188キロ山道。


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