Diary

福江一周

朝は大雨だった。一時間に30ミリとか50ミリとか言っていてこりゃだめばい、という感じで、編集T女史と11時くらいまで小説について打ち合わせ。まだあまりディテールを詰める必要はないと言われる。何が書きたいのかをしっかりさせるのが今の、最初の作業。

雨が小やみになってきたので車を借りて堂崎教会へ。ここで雨がやむ。島一周をやろうと言って走っているとどんどん天気が好転してきて、高浜に着く頃にはすっかり晴れていた。雨の後やけん海が汚いというのは負け惜しみ、水着を持って来るのだったいうのが本音。小一時間海を前に小説や、書いていくペースのことを話して日に焼ける。明日はぜったい泳ぐ。T女史は浮輪を買うと言っている。

大瀬崎灯台を経て島を一周、多分人が思っている以上に福江島は大きいと思う。白砂の淡い色の海、岩場の紺碧の海、濃い緑のもこもこした山の連なる景色を
おなかいっぱい味わう。これはほかの何処にもない景色だ。沖縄とも壱岐とも違う。来て良かったなあと思う、きっと間違ってはいない。


五島着

なにもかも親戚と文藝春秋のお世話になる3泊四日のはじまり。
福岡乗り換えで五島に来た。悪天候でかなり飛行機が揺れたが来るには来た。すごい湿気である。緑が濃ゆくてむんむんしている。時折激しい雨。資料館、図書館で資料をむさぼり読んで、あとは市街から港にかけてぐたぐた歩き回る。
晩飯バリウマ。まだ九州の言葉はそんなに出らん。
明日は双従弟から車を借りて全島制覇&晴れたら泳ぐ。


たまらんばい

いよいよ明日から五島。
私の予定だともう梅雨明けのはずだった、しかしどう見てもヤフーの天気じゃ連日雨っぽい。意地でも水着とシュノーケルは持っていくが浮輪は断腸の思いで置いていくことにする。雨降ったら宴会まで何しよう、あ。取材か。
最終日は長崎から福岡に出るんだけれど、長崎の脱線もいつ復旧するか判らない。調べるとJRはバスではなくて佐世保、大村線経由なんて阿呆な代替をやっている。たまらんばい。バス「九州号」を予約。バスっても2時間で博多に着くんだから立派なものである。


一笑壊千愁

夕べは文學界と出版の担当者に蒲田まで来てもらい、残念会かと思いきや、酒を飲みつつしっかり単行本の打ち合わせ。とはいえ、本が出るのはまだまだ先のこと。気持ち的には早く出したい思いもあるけれど、そこはそれ、賞とれんかったから仕方ないだんべ。
オール読物8月号が届いた。写真、名前の下に「作家」と出たのは初めてのことで嬉しい。22日発売予定、1ページのエッセイ。
夜、表紙提案用にでき上がった写真を見せてもらう、どこにしようかってんで津右衛門。先日のイラストを見て盛り上がる、絶対この人の世界は私の世界とつながってる、という話になる。いろいろ話してたくさん笑ってかっこいい車にも乗せてもらえてすっかり気分がよくなって帰って来た。


芥川の日の夜

応援いただいた方、どうもすいません、て謝るほどの悪いことはしてないか。落選です。ちょっとそわそわしていたのがふっと緩くなって汗をかきました。もっといいものを書き続けるだけです。取り急ぎ第一報。


芥川の日の昼

発表の電話がかかってくる夜まで暇だ。いつも通りの蒲田の生活だ。風呂入って、コーヒー飲んで、「海の仙人」の直しで苦しんで、さんきちで昼飯食って、午後から掃除でもするか、て感じで。もう見飽きたでしょこの日記。
もっと緊張するかと思ってたがそうでもない、ちゃんと二度寝もした。年をとってずぶとくなって来たのかもしれない。
受賞だったら着替えて化粧して(めんどくせー)東京会館に行くのだけれど、落ちてても担当編集者が蒲田まで来てくれると言う。昨日も飲んだし、五島も一緒だし、いいのかしらん。落ちたら落ちたでのんびり五島に行けばいいし、仕事はまだいっぱいあるし、どうてことないな。と、うそぶいてみる。本当はそりゃ欲しいよ100万円、だって8月車検だもの。生活かかってるもの。


象の絵がよかった

午前、歯医者。午後、文學界編集者と打ち合わせ。「第七障害」のゲラの直しを提出、かなりよくなったと思う。五島から帰ってきたらゲラがあがるのでそれで再度やりましょうとのこと。ぎりぎりまでやる。
嬉しいことがあった。オンリートークを読んで文藝春秋にイラストの持ち込みをしてくれた人がいたというのだ。タイヤ公園に行ったりキングクリムゾンのCDを聴いたりして描いて下さった。もちろんプロで集英社から出た本の装画など担当されている。見せてもらったら、「あ、なんか私が出てくる」みたいな作品ばかりなのだ。どちらかと言うと、オンリートークより第七障害の温度に近い。
こちらから提案する表紙の写真の方も今日撮影してもらっている。出来上がりが楽しみ。
打ち合わせの後、地元の人から教えてもらった土佐料理屋で飲む。いいお店でした。


たまるたまらん

昨日の打ち合わせで、行き詰まっていた「海の仙人」の問題点がいくつも出てきた。納得のいく出来になるのはまだまだ遠い先という気がする。それから神楽坂の、民家を改築したという雰囲気のいいお店でご馳走になり、蒲田へ帰った。朝、原稿を見直してちょっと滅入る。小手先の切り貼りではなく、全体が生きてくるような文章が必要だ。もっと力が要る。
蒲田で、明日の打ち合わせに使うものを忘れてたのでそれを取ってまた実家に。出入りが激しいと部屋ってなんか、荒れるなあ。読んでない新聞とかたまる
し。金はたまらんのに新聞と薬だけはようたまる。


帳尻発動

五島行きに一週間を切って、いつまでも中だるみをしていられなくなって、書店でるるぶを買って来た。メインの資料館関係を一日目と三日目でやっつけて、あとは島内ドライブだな、一周と十字路があってドライブするだけで楽しい島だ。雨が降ったら上五島で教会巡り、晴れたら海水浴って感じでしょうか。梅雨、明けるかなあ。
夕方、新潮の担当者と単行本の担当者と打ち合わせ、お食事。


しばしお別れ

今週木曜から3連続公用が入り、ロッテンマイヤーは27日までお休み。今日は晴れてたら散歩でも存分にしてやろうと思って行くが、ざざ降りだったので、
彼の得意とするお絵かきにする。この前作文で書いた「将来なりたいもの」について絵を描く。私も描く。「だって糸山さん大人じゃん」とガキは言うが、大人になっても夢はあるのだ。虹ノ松原とジャガーを背景に海水浴するナイスバディなばあさんの絵を描いた。 今日はおばあちゃん(友人の母)が来ていた。その影響もあるのかいつもの3倍生意気である。乱暴だし口も悪い。味方がいるからワガママ言っても大丈夫、っていう感じなのかな。それとも子供扱いすんなよという見栄があるのかな。こちらはかまわず叱るとこは叱る。そのうち絵に没頭してくれた。そのあとはたっぷりドリトル先生、おばあちゃんの手前テレビゲームはやりたくなかった、よかった無事終わって。


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