Diary

第六回絲山賞

この一年間で、私が読んだなかで一番面白かった本に「絲山賞」をさしあげています。単に私がこの日記の中で発表しているだけで、賞金も式典も、もちろん名誉もありません。(たまに、著者の粋な計らいで帯になることはありますが、権威が嫌いな私の賞に権威はないので騙されないで下さい)

第六回絲山賞は、ドナルド・キーン著 「日本人の戦争 作家の日記を読む」(角地幸男訳 文藝春秋刊)にさしあげたいと思います。
初出は1月売りの「文學界」、単行本は7月刊ですが、何度も何度も読みました。

内容は、開戦から終戦、占領下にかけての複数の日本人作家の日記を抜粋して編んだものです。
この本は、ドナルド・キーン氏でなければできなかった意義の大きい仕事のうちの一つになると思います。今とはかなり異なる時代の考え方がたくさん出てきますが、情報将校として米海軍にいた著者ならではの深い思索に基づく考察によって、2009年の私も理解をすすめながら興味深く読むことができました。
特に終戦から復興の間の人々の意識の劇的な変化、というのは、認識はあってもこれまで具体的なことを知る機会がなかなかありませんでした。「考え方を変えた」と発言するのは難しいことだからです。
日本人にとって、この本は貴重な財産になると思います。久しぶりに「書いて下さってありがとう!」とお礼が言いたくなる本でした。


地平線の見える部屋

いつも散歩をしていて、当たり前の景色になっていたけれど、今朝思った。
この時期、太陽は南東にがーっと開けた地平線から上る。毎朝、日の出を見ている。
いつもその時間は散歩だけれど、仕事部屋からでも見える。
自分が地平線の見える場所に住むなんて考えたこともなかった。

免許更新に行った。
講演会やっても生放送でも全く緊張しないが、免許更新はいつもなぜか緊張する。講習のビデオが怖いからか。
6月に痛恨の「軽微な違反」があったので、5年の青免許をもらった。

「末裔7」と「超然第三作(仮)」をちくちく書いたり考えたりしている。


私の「やらないことリスト」

やっと疲れが少しとれてきて、無意味に悲壮な気分になっていたのが取れてきた。
昨日までは「朝の散歩だけで疲れちゃって、どうしよう! 昨日もあんなに休んだのに」と泣きそうになっていたのが、「疲れたら寝ればいーや」と思えるようになった。一時期、鬱の定番ジェームズ・ホワイトを聴き始めてしまってやばいと思ったけれど、なんとかなりました。

そんな自分の「本日のやらないことリスト」
何もかもやらなきゃいけない気分で、優先順位が決められないときに作ります。
紙を半分に折って、左側に「やることリスト」を作ります。思いつくだけ全部書きます。
そのあと少し時間を置きます。
左側の項目から「今日どうしてもやらなくてもいいこと」を考えて「今は必要ない、いつ頃までにやる」と右側に書きます。
(例えば、電球は今買わなくてもいい、今日の食材はあるのでスーパーは明日以降、郵便局の本局に行くのはやめて宅急便の集荷に来て貰う、灯油もまだ数日は大丈夫、絲山賞は決まってるけれど発表は12月中でいいだろう、など)

急いでやらなくていいことって結構あるのに、自分が混乱して焦っているだけなんです。だから自分にわからせます。
どうしても自分が信用できないときは、友人に見せることもあります。項目がはっきりしていれば友人だってアドバイスしやすいのです。(引っ越しのときはそうした)
明日も不安だったら、また明日作ればいいだけ。

リストに残ったのは、今日の群像再校ゲラと明日の免許更新。絶対にやらなきゃいけないのはたったこれだけでした。


毛布を自分で出す犬

家の中でペンギンが飼えそうな寒さ。

夕方の散歩のあと、フリース毛布をそれぞれの小屋に入れてやると、二匹とも小屋に入る。朝の散歩が終わると、茶色犬は自分で日なたに毛布を出してきて、その上に寝ている。なかなか賢いではないか。でも今日は、牛犬がうろうろしても場所を譲ってやらずに知らん顔をしている。牛犬の毛布は私が出してやった。

午前中、野性時代「しごとのはなし」のゲラを戻す。
大したことはしていないのに疲れてへろへろ。寝ます。


古傷天気予報

忘れた薬を取りに立川へ。友人がクルマを運転してくれた。
ほんとに、いろいろ気をつけなくちゃ。

手術跡が、まるで凍ったボルトでも入っているみたいにごりごりして痛むのでこれは降るなと思っていたらやっぱり降った。
昼過ぎに戻ってきて高速から見たときには赤城だけだった雪は、荒船でも降り始め、やがて妙義でも、子持や小野子でも降り出した。
山にぶつかっては千切れていた雪雲がそのうちに榛名を超えて広がり、犬の散歩の時間にはウチのあたりも粉雪が吹き付けてきた。街の方は晴れている。早めに冬タイヤにしておいてよかった。


初雪 初氷

凍った草を踏む犬の足音というのを、初めて知った。軽くていい音だ。
赤城から前橋にかけて雪雲がかかっていて、散歩に行くと雪が舞っていた。振り返ると我が家の屋根も白くなっている。

午前中、くたびれて寝てばかり。気分も下降気味。

夕方、FM。セレクションは坂本龍一「メリークリスマス ミスターローレンス」、おすすめ本は中勘助「銀の匙」


花見の場所取りができるかも?

くたびれ果てたので、家で大人しくしていた。
午後、設計士夫妻来宅。

昨夜、犬に使い古しのフリースのひざかけをやった。
それぞれの小屋に入れておいたら、ご丁寧に小屋と小屋の中間点に引きずり出してきて、仲良くその上で丸くなっている。


大失敗

精神科受診。
近くに住んでいる姉の家に行った。二人で話すのは本当に久しぶりだったけれど、楽しかった。
姉夫婦が飼っている猫には、以前、酔っぱらってちょっかいを出してひっかかれたことがある。今日は貢ぎ物のネコ缶を持参してなんとか許して貰った。

調剤薬局に処方箋を出してあとで取りに来ますと言って、そのまま忘れて帰ってきたことに圏央道に乗ってから気がつく。やってしまった。ばかだった。余裕ゼロだった。また立川に取りに行かねば。

仕事でばたばただった後の着地がうまくいっていなくて、少し精神的に空回りしている感じがあるので、本当に気をつけて気をつけて生活しないといけない。


肩凝り保留

夜明け前に目が覚めて、もう一眠りしようとしたとき、新潮の超然三作目の文体が閃いたので仕方なく起きた。寒かった。
午前中に接骨院に行こうと思ってたけれど、下りて来ちゃったらそっちが優先だなあ。うまかねえなあ。

ハンガリーで二冊目の本が出ることになった。一冊目は、勤労感謝、袋小路、オンリートーク、ニート、沖で待つを収録したオリジナルの短編集だったが、今回は、ばかものと海の仙人を収録。たくさん質問があるとのことで、今日は翻訳者が来て打ち合わせ。


6月に双極性障害・当事者会(言い換えれば躁鬱病の患者会)の全国組織が発足するにあたって講演依頼があり、精神科医の先生が来宅された。私の場合はかなりコントロールが効くようになり、薬も減って(眠剤も2ヶ月以上飲んでいない)、再発しても軽く済むようになってきたので、自分の経験で同じ病気の人の力になれるなら、ぜひ協力したい。
今日いらした先生は、私の主治医のこともよく知っているとのこと。禿先生、偉い人なんだな。

午後は「末裔」のゲラと読書。
炊き込みごはんと粕汁を作った。


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