Diary

ゲリラゲラ

今日から明日にかけて各社から一斉ゲラ襲撃がある模様。ゲラをやるのは小説書くよりも好きかもしんない。私は、最終稿を提出した時点で一度内容をリセットして忘れてしまう。その作品が「いよいよ活字になります」と言ってゲラの形で一時帰宅する。入念に旅支度を整えてやる。そして作品は旅に出る。
一旦活字になっちゃうともう殆ど見ない。


ボス

ボスがいる。白黒の猫で、体はすごく大きい。よく家のそばでぬうっと休んでいる。現職のボスかどうかは知らないが、顔に傷跡がたくさんあるのは猫社会では喧嘩の強い証拠らしいから有力者には間違いない。片目にひどい傷がある。近所には彼の子供とおぼしきそっくりな毛色の子猫が何匹もいる。
ボスは私なぞ見ても驚かない。傷のない方の丸い目でじっとこっちを見ている。よほど近寄ると「しょうもねえな」という感じで退く。逃げない。ゆっくり立ち去るだけだ。「猫ちゃん」なんて言って舌でも鳴らしたらひどい目に遭わされそうだ。可愛さの欠片もない、ペットにしたいなんて思わない。でも、なんとなくボスが私のことを「こいつ無害」と覚えていてくれたらそれでいいなあ。


貧乏人の買い物

朝から仕事。昼、朝日トリッパーインタビュー。
プリンタのインクとコーヒー、煙草、牛乳、ファンデーション、最低限の買い物。ステップアップしようか迷うが結局セザンヌ化粧品続行、380円。4000円も5000円もするファンデがどんな感じだったか、とっくの昔に忘れてしまった。


突発性長編

どうも物事は順序通りにはいかない。昨日、微熱でモヤモヤごろごろしているうちに、中央公論の長編の登場人物がぽこっと生まれた。テーマと舞台だけ他とダブらないように押さえてあって、書くのは来年の予定だったんだけれど、ほっておくわけにいかない。早速担当者と長電話していたら骨格がばーっと見えてきて、そのままのテンションで書き始めた。へろへろになって寝ようとして、何度がばと起きてPCを立ち上げたことか。今日も書ける書ける、自動筆記状態。外出もままならぬ。大変なことになってしまった。
群像もやってますもちろんです。


業界の名残

昔の上司から電話あり「勤労感謝の『キッチンバックの黄色い100角タイル』ておーまえ、業界丸出しだがや」と笑われた。品名書かんかっただけええでしょー。車だって車種まで書いているのだから、ディテールとして残したくて、でもどうするか迷った部分。
新潮社に行くたびに思う「外壁には渋い窯変調の土物タイルが馬貼りに貼られていて、Rのついた役物は特注品と推察された」なんてことまでは書かんから安心してちょーでゃー。
昨夜は咽喉、今日は微熱、どうも風邪らしい。美味しいものを食べに行く計略があったが、味がわからんのじゃ仕方ないので延期。相手も風邪っぴき。これだけを楽しみに連休中がんばってきたのに身体はイジワルだ。


蒟蒻問答防止策

朝日トリッパーがインタビューの主要質問項目をあらかじめ送付してくれた。こういうやり方もあるんだ。作品については上手な新聞記者なんかだとぶっつけで思わぬ背景が引きだされたりすることもあるが、自分自身のことを喋るのは全然ダメなので、こういう形はとてもありがたい。国会みたいだけど答弁書作成。
やけにふらつく。ろくに食ってないせいか、それとも風邪か。


明日は何の日

旅行先でも外国でもどこでも道を訊かれるが、東横線で食い入るようにゲラを見ている時にまで訊かれると、さすがになぜだろうと思う。「すみません、ここ中目黒ですか」あのさあ、急行待ち合わせで駅に停車中なんだから慌てず見てご覧なさいよ「じゆうがおか」って目の前に書いてあるじゃんよ、平仮名で。でも、にっこり笑って中目黒なら4つ先ですよ、と反射的に教えてしまう自分がいる。
明日は啓蟄、お休みだった出版社がゾロゾロ出てきて連絡が来る。また生意気言っちゃった、嘘です連絡ください。連休中一人でコツコツ原稿送りまくってるとひねくれてくるんです。


居残り生徒の気持ち

風が強い。やる気が起きない。阪神バカ勝ち。藤本に満塁HR。昨日二食食べたら今日は食欲がない。飯を全く食わないと一日に節目がない。雨が降った。6時間目の算数の問題が解けなくて居残りをしているような気分でずっとパソコンの前にいた。夜9時すぎてやっとエンジンがかかる。


赤いゲラ 白い雑誌

「新潮」の見本誌が来た。川端賞選評を見て恐縮する。何の関係もないが100周年というのは蒲田駅と一緒だ。
文學界巻頭エセー、直しで真っ赤になったゲラ送付。終日仕事の心積もりが、仲間の一人が思いついて突発性飲み会。


無題

買い物帰りにガーベラを買った。引きこもりの友だ。
短編最終稿を野性時代に送付。自信を持って言える、短い。


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