Diary

「離陸」のことをあーでもないこーでもないとうだうだ考えていただけ。毎月この段階(ニートだった頃の日々とちょっと似てる)を通らないと書くことができない。書き始めたら早いんだけどね。

東京なんか行ったせいか、窓開けたまま寝たせいか知らないけど咳が出て頭痛いんで今日は早寝します。すみませんいつも8時に寝てるくせにでした。


昨日、新幹線とタリーズで新潮の4本目の短編のラストがおりてきて興奮した。タイトルも来た。文春と打ち合わせしたあと新潮に電話して内容を伝えたら「太ももに鳥肌が立ってます!」と言われた。気持ちは伝わりましたがその鳥肌は見たくないです。今日は原稿打ち込んで、これまで書いたのは半分くらい削った。

今日は雲は出てたけど雨上がりで山がきれいだった。犬どもは元気です。牛犬は肩のあたりが少し太りました。嬉しさが限界を超えるとべろが口の横から出ます。茶色は鼻先を私の腕の内側に差し込めば梃子の原理を使って自動的になでさせることができる、というのを発明しました。


最近笑った新聞記事「プリウスで炊飯」。仕組みとしてはわからんでもないけれど、トヨタの社員さんが最高の笑顔で大きな炊飯器抱えてプリウスの脇にしゃがんでいる写真にやられた。

こないだSAで「全国版高速道路地図」の最新版を手に入れました。長らく売り切れになっていたものですが、広域地図としては私が知る限り最高のものです。なんといっても縮尺がすばらしい。私はドライブは地図なしで青看板だけ見ながら走って、帰ってきて飲みながら地図見て反省会するのが好きです。(もちろんナビなんてありません。それどころかドリンクホルダーさえない)

今日は文春行って打ち合わせ。そのあと別件で新橋。


2日続けて休肝したら、朝の3時に「赤ワインお願いします!」という自分の元気な寝言で目が覚めた。夕方まで長いよ。

(こないだは「そこはずっと右寄せで!」と寝言で言ってたらしいけど、大昔の一発台でも当たったのか)

梅雨入り前にと思って草刈りと洗濯。エフエムの選曲しながら掃除もはじめたが志半ばにしてサボる予定。どのみち家事の志なんて低い低い。


白状します

実は私、ひとの名前と顔を覚える能力が極端に低いです。しらふでもそうです。好き嫌いとかオトコマエとか美人とかとか関係なく、抜け落ちる感じです。一度覚えれば大丈夫なのですが、それでもコンタクトの人がメガネしたりしたらもう無理。

会社員時代もそうでしたが、営業というのは自分から客先や現場に訪問するもので「そこに行けばその人がいる」、だから大丈夫でした。イベントで会ったら毎週会ってるお客様がわからない。「はじめまして絲山です」「何言ってんだオマエ」というやりとりを何百回したことか。

今の仕事も、打ち合わせとかは家に来る人の名前がわかっているから大丈夫で、あと黄色いクルマで見つけてもらっている感じです。パーティーなんか行くと作家も編集者も記者も誰が誰だかさっぱりわからない。サイン会では担当編集者でさえわからない。わざわざ来てくれた親戚に「どちらにお住まいですか」と聞いたこともありました。あれはほんとに申し訳なかった。

ラジオは顔関係ないので助かります、でも毎回担当してくれる技術さんの名前覚えるのに(空き時間に雑談とかすごいしてるのに)1年かかりました。学生には最初からカミングアウトして前期はいちいち名乗ってもらってました。いつもお化粧してる子がすっぴんで来たらもうわからなかったです。

新潟の飲み屋でいつも話し込んでる大好きなお姉さんの名前、まだ間違えてました。少なくとも5回くらい会って結構話し込んだ常連さんにも、なんか会ったことあるなあくらいの顔してて、こないだでキレかけられて何度目かの名刺をもらった瞬間思い出していきなりフレンドリーになりました。

多分読者の方にはあまり関係ない話ですが、地元と業界の人にはほんとに失礼なやつで、これからもいろんな方にご迷惑かけます。先に謝っておいて開き直るつもりは全然ないですが、多分何度も皆さんに名前を聞き直すと思います。実はわたし、牛くんとあんまり変わらないんです。ごめんなさい。


日曜は友達と十日町の温泉で一泊、月曜は柏崎まで行って浜に椅子出して馬鹿話して日焼け。それから新潟市内へ。行きつけの店で刺身を食べ、常連さんたちと再会してすごく楽しかった。火曜もまだサカナを食べ、岩室のだいろの湯に入ってから群馬に戻りました。もちろん高崎に戻ってから反省会。


昨夜、おかきを揚げて食べたらしくて(物証あり、記憶なし)起きたら胃がもたれてた。なんで夜中にそういうバカなことするかな。原稿にもメモが気持ち悪くなるほどびっしり書きこんである。「絲的こわいもんなし」の再校ゲラを戻してから原稿打ち込む。

午後は友達と中越の温泉に行ってのんびりしてきます。


土は宇宙

裏の畑問題は半日かからず解決。すごいよ畑の土って。土の粒の表面積はものすごく広くて莫大な数の微生物がいるっていうのを数年前に本で読んだのを思い出した。犬の散歩に行くあたりでは田植えがピーク。知り合いのおじさんも「いよいよだよ!」とはりきってました。田植えの終わった田んぼに映る榛名山が美しい。

新潮の短編集の4本目が、かなりすすんだ。昨日出てきた人物が急激に成長した。「離陸」と書き方が全然違うので、そういうバランスのこともあると思うけど、短編書くのはすごく楽しい。


朝豪雨、昼晴れて気温上昇、夕方雷雨。裏の畑の山はそりゃあいい感じになっていたのでしょう。

一瞬の出来事でした。わたくしは夢中で小説を書いておりました。トラクターが来たのにも気がつきませんでした。台所と寝室の窓が開いてました。トラクターは山になった「オーガニックの素」を崩して地面に鋤きこんでいきます。これから飼料用のトウモロコシを栽培するのです。

それにしてもにおいって秒速何キロくらいで伝わるんだすごい早いぞ。「ぐぼっ」と言ったときにはもはや手遅れ。わたくしは、今鼻にティッシュを詰め、過激派のようにタオルで覆面をしています。今から町に逃げようかと迷いましたが、牛舎を濃縮したにおいの寝室に帰ってきて苦しみなおすよりも、ここはひとつ耐えて、南の窓のみを全開にして換気しつつ慣れる道を選びました。年に一度、二日くらいのこととはいえ今年は条件が揃ってしまった。お客様どころか百年の恋だって親子の縁だって切られるわ。

小説でこのあと何を書こうとしていたか、そんなことはとっくに忘れました。


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