Diary

「十二月十一日午後の事」

車検で車がないので実家まで歩いて行くことにした。車じゃないからオヤジと飲もうとワインも持っていった。
遠すぎた。
もうやんない。

あてにしていた資料は出てこなかったが、高校の現代文の(落書きだらけの)教科書なんかが出てきて面白く読んだ。ついでに出てきた堀辰雄や中勘助の文庫本を持ち帰ることにした。こういう古い本の間から思わぬお宝が見つかったりする。


宣伝など

新潮「愛なんかいらねー」再校ゲラを送った。三校は新潮社で確認するけれど、登場人物が去って行った気がしてちょっとさびしい。

暮れも押し詰まってからばたばたするのは嫌なので、東銀座まで行ったものの二週間もかかるデジカメの修理は来年まで凍結、代わりってわけではないが靴を買った。スニーカーは名古屋時代から代々カンペールだが、足まで痩せて靴がどれもぶかぶかになってしまって困っていた。歩くのと車の運転を考えると似たものばかりになってしまうが、新しい靴は足にフィットして歩いていて気持ちがいい。靴屋から45分歩いてみてやっと疲れたので勘弁してやった。

横浜方面の方に宣伝です。FMヨコハマのALL THAT DVDという番組に12/12(日)夜9時30分から数分ですが出演します。きたない声で失礼しますがどうぞよろしく。


お上の言うこと

家の近所を、役所の「安全パトロール」なる車が拡声器を鳴らして走っていた。「ひったくりに注意」とか「火の用心」とかその手のやつだが、笑ったのは「不審な人を見かけたら、一言、声をかけましょう」という件。おいおい、無理言うなや。なんて声かけるんだよ。「はじめまして。絲山です」とか? それとも「あんた、不審だねえ」とか? 思いきって「消えろ屑野郎」とか? 私にはそんなこと出来ません。

午後、中央公論新社来宅。「逃亡くそたわけ」再校ゲラ打ち合せ。あっちもこっちも正念場だ。


電飾街道

今日は人が家に来ない。出掛ける予定は、どうしても今日ってわけじゃないから延期。寝坊して掃除をさぼって再校ゲラをじっくりやる。これが本業なのだ。

この時期、夜の散歩で気をつけなければいけないのは住宅の庭や門扉のクリスマス電飾だ。「勤労感謝の日」にも書いたけれど、あれは本当にむかつく。単に電気のむだ遣いというだけでなく、「きれいなんだから道を通る人も喜ぶだろう」みたいな思い上がりがむかつくのである。余計なお世話じゃぼけ、と思う。電飾街道は避けて歩こう。


「がんばれナイジェル」

嬉しいことがあった。大好きな XTCのライブのCDが針とび、いやCDだから針じゃないのだけどとにかくCDプレイヤーでは聴けなくなっていたのだが、itunesで聴けた。XTCは昔のビデオもぶっとんでて面白かったのを思いだした。

午前中で一通り年内締切のエッセイ、書評が手を離れた。
午後一番で車を車検に出す。
夕方、野性時代2月号「自作にBGM」インタビュー。
夜、新潮打ち合せ。


体の身

グラツィアインタビュー。掲載は少し先ですが、仕事場、というか自分の部屋なども公開しました。

ほとんど毎日、30分以上歩いているけれど、今日は歩き足りなくて結局2時間以上歩いた。途中からくしゃみがとまらなくなった。体の身にもなれよ。


上京・上陸

先日の実験の結果を取り込んで絲的メイソウ第6回第2稿提出。これが通ると年末が少しだけ楽になるし、うまくいけば一回分貯金が出来るかもしれないと目論んでいる。午後から野性時代の新作と「愛なんかいらねー」の再校ゲラ。

福岡で一緒に仕事をしていた先輩が東京出張で、今は東京にいる元上司が飲もうと声をかけてくれた。会社を辞めようかと思ったとき一番に相談して「小説を書きたい」と言ったら「好きなことをやればいいさ」と言ってくれた人だ。私は怒られるか笑われるかのどちらかだと思っていたので驚いて、でも涙が出そうになった。

どうでもいいことだが、私は「上京」という言葉が嫌いだ。なんて言ったらいいんだろうといつも思う。福岡の場合は「来福」と言うんだけれど、なぜか私の場合は「上陸」と言われる。


あなたの代わりはいない

口と胃は仲良しではない。お腹が一杯でも口さみしいこともあるし、お腹がすいていても口が食べたくないこともある。今日は後者。
夕方までだらだらゲラを見ていたが、しっかし疲れたなと思ってストレッチをやったらあら不思議、元気がもりもり湧いてきた。しかし、つられて同居人も自己流ストレッチをやりはじめて、多分傍目から見たらすごくまぬけだったと思う。

近所の自販機のセブンスターが切れた。生命線を断たれた気分でチェリーを買う。


無題

野性時代との昨日の打ち合せの結果、見えてきたものを少しずつ、探りながら書いている。ノートに疑問点やおかしいところを書きだし、どうしてなのか考える。登場人物の動きはまだ緩慢だ。

夕方、FMヨコハマ ALL THAT DVD収録のためスタジオへ。緊張はしないけれど、喋るの下手だなあ。
帰ってきてコートを脱ぐ暇もなくFAXのやり取りなどして、夜、小説現代打ち合せ、と言っても話し合いではなく、次回の絲的メイソウに関する小実験に立ち合ってもらう。果たして成功するかどうか、だめだったら書けないじゃん。


年末年始てんこもり

角川書店来宅。新作打ち合せ。いろいろ思うところを話し合うと、掌編でなく短編くらいになりそう。
新潮の校了後は「くそたわけ」の再校ゲラと「スモールトーク」の単行本ゲラをやりつつ、野性時代と文學界の中編に取り組む。どちらもタイトルは追々考えます。
テーマだけは編集者とたくさん共有しているんだけれど、これ以上同時に手をつけると頭がごちゃごちゃになってしまう。もどかしい。


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