Diary

中祝い

ずっと前から私の小説を読んでくれている人が、中祝いといって有楽町で串揚げをご馳走してくださった。(ありがとうございました)嬉しいときに美味しいものを食べるともっと美味しいんだな、就職が決まった時以来かな、こんなの。
もちろん、会社みたいに仕事があって金が入って、ってわけじゃないけれど、文春や新潮といった大きな出版社は若手の作家を育てる、と聞いたことがある。賞をとれなくても自分が作家で生きていくための重要なコネクションが出来た、と思う。
海仙の最後の方は書いていて相当辛くて、全然ダメなんじゃないかと思ったりしていた。だから文學界も全然期待してなかった。次にいい作品を書かなければと思っていた。
現金なもので鬱はどっかに行ってしまった。また狐が来るのを待とう。


幸運な犬の糞

中身はへなへなっすよ。ちょっと小突かれたらぶっ倒れそうっすよ。銀行に寄った帰り、駅前で開戦の号外を貰ったのでサンマルクカフェで読もうとしたら、すごい違和感を感じた。周りの人がみんな花のように見える。自分はなんだろう。犬の糞か、そんな感じ。
てなことを書いていたら文芸春秋から電話かかってきた。ひょえー。it’s only talkが最終選考に残ったのでゲラを作って一度打ち合わせしましょうとのこと。しかしどんな話だったかもう忘れちゃったよ。読み直そう。
こんな日がこんな日だとは思わなかったよ。


無題

どんどん調子が悪くなる。街には出られない。飯もいらない。コーヒーの量も減った。今日はまじでだめだ。へこみながらへこみながら座ってテレビを見ている。国会は党首討論でみんな元気だ。


television

なんだかんだ言ってテレビ見てます。辛いと寝ちゃうけど。
ラグビーの大八木がパンを作ってたり、日曜美術館の再放送で岡本太郎がいいこと言ってたりする。キムタク見たのも群馬以来だ。
リモコンがないのが痛いな、もらい物にケチつけちゃいけないが。
ビデオは単体で持ってるんだけれど、繋ぐ場所がない。どうにかして繋ぐのだろうけどわかんないや。
岡本太郎の番組のメモより。
・きれいと美しいは正反対だ
・拒否反応を起こさせるようなものが芸術だ
・自己否定が生きること。自分を乗り越えることが自分を貫くことだ


Q&A

 人に何をしていると聞かれて、ちょっとはまじめに答えようとする相手ならば、
「小説を書いています」と言う。
 すると大体、「どんな小説」と聞かれる。これが一番困る。うまく答えられたためしがない。芸能人なら誰に似てる、と同じくらい困った質問である。どうしたらいいんでしょう。誰か教えてください。


原因なんて糞の役にも立たないが

いや、本当は金のことだ。俺の鬱は躁の反動と金絡みだ、棚に上げていた生活の不安が戻ってきた。今の俺に関していえばやっぱりぜいたく病か怠け病なのかと思う。俺は「いわゆる会社とかアルバイト先とかで」働けないのか働かないのか働けないから働かないのか働きたくないから働かないのか、目先の仕事がなくなっちまうとそんなことを考える。
小説が書き終わった時、俺は小説と縁を切っちまうから、例えばオンリートークの登場人物の名前なんかなかなか思い出せない。海仙は書き直してよかったのか悪かったのかわからない。どこをどう歩いてきたのか判らない感じだ。
原因はどうあれ、なってしまった鬱は治すしかないのだ。休んで治して、またスタンバって次の狐を捕まえる。なんとなくだけど、次も狐は来ると思ってる。


午後3時半

禿先生に電話をした。なにかありましたかと言われたので小説を書き終わりましたと言ったら、それで疲れてるんじゃないかなあと言われた。しばらく、ごろごろして様子を見ることにした。この体調だと病院行くのもきついもんなあ。
池上まで買い物に行こうと思ったんだけど、行けなかった。帰ってきちゃった。


3時半

今日は何度も寝た。最後に寝たのが11時頃で2時に目が覚めた。今は苦痛はない。頭が冴えて、眠剤を飲む気がしない3時半。世の中は静まり返っているみたい。冷蔵庫の音以外、なんの音もしない。
明日、気分が良かったら出かけようと思ったけど、でもやっぱだめだ、いいや。何しても面白くないんだ。スーパー行ってみそ汁でも作って後は閉じこもって本を読んでいたらいいんだ。
どうせ雨だ。ずっと降ればいいんだ。


鬱三日目

なんかこう、額と鼻筋のあたりが気持ち悪い、痛くはない、膿が詰まってるような感じ。駅前図書館で本を6冊借りてきた。もう惰性でちくまの日本文学全集の読んでないやつを片っ端から。ユザワヤとドラッグストアまではなんとか行けた、百円ショップでくじけそうになった。出てくるともうヨーグルトの在庫を追加する元気がなかった。どっかで飯を食う気力もなかった。酔ったみたいに歩いて帰ってきた。野良猫のトラが「あーあー、どうしたんだろうね」という顔で見ていた。
百円ショップで買ったねじ回しでテレビの配線をやりなおしたらちゃんとテレビが映るようになった。でもテレビなんて見たくないや。寝るのが一番だ、寝よ寝よ。


鬱2日目

鬱病は三つの「つ」である。「つらい」「疲れる」「つまらない」
でも私の場合鬱で死んだりはしないのでその点は躁と違って安心というか、スリルがないというか。スリルといえば1日に14時間プラス2時間くらい寝ていて、途中で起きると煙草でフリースを焦がしたりする。危険かつ間抜けだ。ロフトの昇降もぷちスリルだ。
起きている時間は気持ちの悪い落ち込み方をする。頭は弱っている、とことん参っている。だけど何かしなくちゃ出かけなきゃと焦る。なんにもしなくていいのにね。
夜、化粧を落としてフリースに着替えて薬を飲んで、取り返しのつかない一日から開放されるとき唯一、ほっとする。また明日はページをめくった真っ白な一日が待っているけれど。


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