Diary

come on fox

取材とか言って人に会ってほんとに作品が書ききれるんだろうか。すごく不安だ。部屋でパソコンを睨みつけていてもなにもはかどらない。受賞の日に、飲み会で審査員の奥泉氏に「誰もが通る道だけど苦しいよ」と言われたのが、もう身にしみて感じられる。締切は6月末、あと2ヶ月だ。2ヶ月あれば大概のことはなんとかなるはずだ。狐よ、憑け!


紀尾井町マジック

夕方、文藝春秋へ。永田町で地下鉄を降りてなぜか迷って歩いているうちに四谷駅前に出てしまった。情けない話だが時間に間に合いそうになかったのでタクシーを拾った。
審査員と担当の人から指摘のあった部分の最終の直しと、受賞のことばを出す。写真は普段着で撮った。72枚も撮られた。魂抜かれた。
筆名の読みを、tokikoからakikoに変更、読みにくいというのでさっぱりと変えてしまいました。


動け動け

なんだかまだ落ち着かない。次の小説の取材で名古屋と群馬に行くことにした。場所がどうってわけじゃなくて、会って話したい人がいるので。選挙とか連休とかが間にはさまって面倒くさいけれどなんとかなるでしょう。暖かいとどんどん外に出る気になってくる。
花束、ありがとうございました。


缶詰め/再会

しばらく落ち着かなくて行けなかった学大に行く。店のマスターが「缶詰めになるならホテルじゃなくてここでどうぞ」と言ってくれた、嬉しかった。俺の殆どの小説はここでメモ帳に書き直し、思いつきしながら育ってきたのだ。次の小説もここで練る。いいものが書けるといいな。
夜、友達と会う。久しぶりだったけれどこのタイミングでひょいっと蒲田まで来てくれたのが嬉しかった。歓迎の餃子は蒲田レポートにアップした。本とCDを焼いたやつをもらった。ノラジョーンズがよかった。


スタート

文學界新人賞受賞。
みんなが喜んでくれて、それが嬉しくてぞくぞくした。こんなに人を喜ばせたことが、今までないような気がする。今までは、HPを見てくれる人、編集部の人、作家の人が自分の小説を読んでくれることが嬉しかったが、これからはもっと、全然知らない人と繋がっていく。突然広がった世界の前に立っている。道があるわけじゃないけれど、自分には体力があって、草を刈りながら、時に木を切りながらすすんでいく。


沖仲仕の哲学者

公家顔がエリック・ホッファー(社会哲学者)の本を2冊くれた。
「魂の錬金術」より「孤独な生活とは、一部の人にとって他者からの逃避でなく自己からの逃避である」など。コーヒーを飲みながらつぶつぶ読んでいる。


本末転倒

ぬか喜び最終戦、公家顔と京橋の天麩羅屋で飲んだ。公家顔が得意とする新宿に行くのは遠いので「京浜東北沿線」で店をみつくろってもらった。公家顔と会うのは2年ぶりだったが先月会ったばかりのように話した。銀座のルパンで二次会をやって、有楽町から帰ろうと思っていると新宿に行こうと言う。これじゃ本末転倒だが2軒も奢ってもらってなんだか帰る気もしないので地下鉄で新宿に移動、新宿で3時まで飲んだ。大体東京が広すぎるのだ、福岡だったら中洲から西通りに移動したってワンメータだし、そこから家に帰るタクシー代だって知れている。東京は不便だ。東京が悪い。
新宿から蒲田までタクシーに乗るのが恐ろしくて実家に帰った。実家から朝蒲田に帰るべきなのだろうけれど、ぐずぐずしていると、お年玉付き年賀葉書の抽選であたった蟹があるけれど夜食べるかと聞かれる。夕飯を食べて野球を見たら蒲田に帰る終バスがなくなってしまう。問題は薬を持ってきていないことだ。そんなら車で行ってついでにPCも持ってくればいいということになった。


受賞払い

落ち着かないのはあと四日だから仕方ない、鬱は去った。
恵比寿で飲んだ。出世払いならぬ受賞払いで焼肉と、和風のかっこいい店に行った。最近、飲んで飲めないことはないけれどあまり酔っぱらわない。一緒に飲んだ二人は年上で、それぞれ全く違う分野だけれどクリエイターで食っている。いい刺激だった。こういう人達の仲間入りをしようとしてるのかー、と思ってわくわくした。


咲いた咲いた

庭でチューリップの花が咲いた。赤白黄色と3本切ってきて家の中にも活けてある。夕方になって、庭のチューリップはちゃんとつぼんだ。おふくろがそれを見て、「おりこうさんだねえ、ちゃんとつぼんだねえ」と言った。それから振り向いて家の中でのうのうと咲いている花瓶の中のチューリップに「おまえ達はちょっとおばかさんだねえ」と言った。
「島の話(仮題)」やっと最初の段落を呼び込むことが出来た。最初の一行に苦労した。また削っちゃうかもしれないけど。


手紙

「拝啓、すっかり春らしくなりましたがいかがお過ごしでしょうか。さて…(本題)…時節柄ご自愛くださいませ。草々」
この手の文章は俺はてんで苦手だ。会社の頃の「ビジネス文書」なんか嫌という程書いたがほんとに嫌だった。てなことをお袋に言うと、「拝啓とかかしこなんて古くさいことは今使わないわよ、国語の先生から来た手紙があるから見てごらん」と言われてしまった。そうなのか、知らなかった。年かさの親戚や昔可愛がってくれた学校の先生に手紙を出そうと思って書きあぐねていたのだ。メールみたいでいいのか。そんなら楽だ、14日過ぎたら書こう。


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