Diary

一昨日きやがれ

「糸山? 今俺川崎で金なくてさ」
またしてもこの手合である。おねだりか。タカリか。乞食か。しかしなんで川崎にいるのか。お呼ばれの途中で下品な言葉の一つも吐けずに後悔する。とりあえず、そうだ、着信拒否だ。


これで阪神さえ勝てば

次作「第七障害」の件で、ケーキ屋さんに取材に行く。思った以上に話が聞けて良かった。小説の中に少しの光がよぎるような気がした。
その次の小説について編集の人と話す。とても前向きな反応を得られ、長編にしてみたら、と言われる。五島の交通費もおりることになった。嬉しいがプレッシャーでもある。プロットだけでも早くまとめよう。
今日から阪神ー巨人、ところが家のボロテレビはTBSが入らない。道で会ったときに「文學界買いましたよ」とマスターが言ってくれた飲み屋へ行って慎ましく(マスターは巨人ファン)観戦するが負ける。まあ今シーズン巨人一勝もしてなかったから一勝くらいプレゼントだ、とうそぶいてみる


君がいなくても何も困らない

しかしなんだ、なんでつき合いを断った嫌な奴らがほいほい復活して電話かけてくるかな。かつて小説を書くことをやめろと言った連中が手のひら返したようにお祝いをしたいだのなんだのと、フザケルナと言いたい、言いたいが「ちょっと賞貰っただけで偉そうになった」と言われるのが悔しくて言えない。アリガトウゴザイマスと言う。物をくれるとかにはヤメテクダサイと言う。すっこんでろボケとか言えない。電話なんか出なけりゃいいんだが、こっちも携帯のアドレスをさっさと消してしまっているので誰だかわかんなくて出る。
電話が鳴ってまたかと思ったら家庭教師の件だった。夜、子供がずっと一人なのが心配というのが理由で、家庭教師らしいことを相手は期待もしてないのだが、勉強でもやんないと退屈するだろ。一応木曜と日曜の夜2時間ではじめることになった。一緒にドリトル先生でも読むか。


へろへろばりばり

今日もへろへろ。昼寝してもだるさがとれない。やばいよ、もう五月真ん中だよ。
夕方学大へ。どうしても今日行きたかったので。行けば原稿がはかどるはかどる。覚醒したみたいに書ける。その反動で帰りの電車で気持ち悪くなる。無駄も含めてやっと90ページ。これから少しは書くのが楽しくなって来るかな。


4日目にしてダウン

糸山さんの家に行く。昨日までの3連続飲み食いでへろへろ、行きの電車で寝まくり。ランチをご馳走になるが食べている途中も寝まくり。糸山家に着いてから座敷で寝まくり。5時頃やっと起きて飲み始めるがどうにも体調が悪い。オナカが痛い。これから寝まくる。


連夜のイタ飯

洗濯、銀行、郵便局、長く実家にいたのでいろいろたまってた雑事を片づける。文學界の担当者からケーキ屋さん取材のアポイントがとれたとメールが来た。すばらしい
夜、M君に連夜のイタ飯をご馳走になる。家庭教師の件、病気の再発についてと、仕事が急に忙しくなると迷惑をかけることを言うが、親が店をやっていていないから半分ベビーシッターみたいな気持ちで気楽に来てよと言われ、また迷う。こっちも今どきの小学生から得るものはたくさんあると思うんだけれど。


社会難民

下町で、大学のゼミの同期のM君がイタリア料理屋を経営している、そこに同じくゼミのH子さんとご飯を食べに行った。ピザも、野菜も、イワシも、ワインもすばらしかった。グルメ本にも出ているらしく店は大盛況だった。
店を閉めてからM君が来て喋った。H子さんはマンションを買い、M君はベンツ乗りだ。でも俺と絲山さんは社会難民だからな、とM君は言った。そこまではいい。
「ところで、うちの子の家庭教師やらない?」学生の方がいいだろ、と言うがどうも学生は信用していないみたいなのだ。小学校3年生である。私はガキが嫌いだ。同時に小学校ならできるかなという気もする。うだうだするうちに、明日の晩飯を食うことになる。久しぶりに働くのかどうなるのかどうしたものか。


家族の食事会。兄夫婦と姉夫婦が来る。小説の件については小さな声でちょこちょこと、くらいの。渋谷のお店でお昼を食べて、移動をはさんで10時間宴会が続く。酒に酔ったというのではなく最後の2時間くらいは疲れて、家族の喋る声がうるさくて人のいないソファの方へ移動してぼーっとしていた。ほんと良く喋るなみんな。
明日は大学の友達の店へ。中一日おいて糸山さんの家へ。それが終われば来週は落ち着く。


打ち合わせ

昨夜の取材と打ち合わせは上首尾。さらに取材の協力をお願いしてくる。長く書き続けるコツは取材をいかに効果的に使うかにあると編集担当者に言われる、全くその通りだと思う。担当者と会うと、自分の中でも現時点の進捗管理が出来るし、気持ちの上でもいい刺激になって続きを書きたくなる。そういう意味で相性のいい人に当たったのかもしれない。
今日はなにもないので午後、一度蒲田に行って新聞と手紙をチェックしてくる。涼しくて山の天気みたいに気持ちがいいが、環八をずらずら走るのはつまらんなあ。行く手に山も海も見えない、夜ならともかく昼間はほんとにだめな景色だと思う。


追い込まれるとやる

今日は文藝春秋に行って打ち合わせ。その後「お食事」のご褒美もあるので張り切る張り切る。
次作のタイトルが決まった。設定をいじった。舞台もちょっと変えた。最後に島に行かせようと思ったけれど島はやめた。島は島で後日書こうと思う。今はだらだら書きなぐった(とても人様に見せられる段階じゃない)ものが75枚。100枚のものを書くためには、倍とは言わないが130枚くらい書いて切り貼り削りしていく。第一作が大事と言われるが、すごい駄作になりそうな気がする。


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