Diary

今後の予定

10月
 22日夜 絲山房カレンダー発売(BASEいとろく)
 
11月
 発売日時は未定『妄想書評』発売(BASEいとろく)
 
 11月15日 オンライン終活セミナー(群馬司法書士会)にてweb講演(YouTube)
 https://event.gunma-shihoshoshi.or.jp/

12月
「書き方相談室」群馬県太田市「アトリエみちのそら」にて開始予定(動画、webサイト)
 
21年
1月〜3月「絲山秋子展(仮)」群馬県立土屋文明記念文学館にて
  (展示のほかに対談、講演、文学散歩などイベントもあり)
 


『御社のチャラ男』関連イベント

講談社刊『御社のチャラ男』関連イベントの一覧です。
申し込み方法等はリンク先をご参照ください。
 
1/25(土)14時〜15時 紀伊國屋書店前橋店(前橋市) サイン会
https://www.kinokuniya.co.jp/c/store/Maebashi-Store/20200106113000.html
2/1(土)17時〜19時 レベルブックス(高崎市) 西口想さんとのトークイベント
http://rebelbooks.jp/event/20200201ito/
2/9(日)13時30分〜 文苑堂書店富山豊田店(富山市)トーク&サイン会
http://bunendo.com/news/5823/

3/1(日)13時〜 双子のライオン堂(東京・赤坂)読書会&朗読会 満員御礼 
 
イベント当日、皆様にお目にかかれることを楽しみにしております!


第16回絲山賞

絲山賞は、私が一年間に読んだ本のなかで一番面白かったものに対して個人的に敬意を表しているものです。「自分には書けないもの」を基準に、2004年から毎年12月に選んでいます。これまでの受賞作品につきましては当サイト「プロフィール」から「絲山賞について」をご参照ください。

第16回絲山賞は、
写真集『ニッポンのはたらく人たち』杉山雅彦 パイ・インターナショナル刊
にさしあげたいと思います。
 
人間が生み出した作品は、それぞれに異なる光を発していると思います(ありふれた考え方なので、以前から言われていることかもしれません)。本に関して言えば、古典のように長く、遠くまで届く光もあれば、エンタメのようにできごとをはっきりと照らす光もあります。小さくても気持ちの和らぐ本、鋭い光で何かを指し示す本、全体を照らして視界を広げてくれる本があります。そのときの場の明るさ(夜なのか昼なのか、屋内なのか屋外なのか、光源の数など)によって、作品の意味や重要性が変わってきます。私たちはその光によって世の中を認識し、自分の内側を見ています。本の感想が自己紹介になってしまいがちなのは、そういうわけかもしれません。
 
今年の絲山賞は、圧倒的に強い光を持った作品です。25台のストロボという物理的な意味でもそうですが、人々の表情も輝いています。誰にも似ていないし、誰にも真似できない作品です。あまりにも眩しく、非現実的に思えるほど力強く、エネルギーがあふれ出しているように感じます。
以下は、女性自身に書いたコラムからの引用です。
「職場は仕事をするところですから家庭や学校と比べて、ふるまいが限定されています。仕事や役割に応じた言葉遣いや表情はある程度決まっていて、それ以外の部分は出さずに過ごしているわけです。この写真集は(中略)「抑制」という封印を解き放ったところに最大の特徴があるのかもしれません」
「映っている人々にはそれぞれ名前があり、生活があり、好みや癖があり、過去があり、未来がある。百年前には一人も存在しなかったし、百年後も誰も生きていない。なんて尊いのだろう」
 
作品に描かれた世界や人は、本来なら見ることができない世界、会うはずのなかった人々です。架空でなくても、受け手にとっては架空に近い存在です。もちろん、この写真集に映っている方々は同時代の日本で活躍していらっしゃる方々なので、いつか会うこともあるかもしれません。でも、この本で表現された瞬間の仕事場に立ち会って体験することは不可能です。
会うはずのない人や、遠い昔、自分の世界から連続していない場所からの光を受けとめたとき、人は大きな励ましや希望、楽しみを得ることができると思うのです。それは未来へと繋がります。この本が多くの人を笑顔にしてくれますように!


3月3日 岡山でイベントがあります


『夢も見ずに眠った。』専用グーグルマップ


2018振り返り

今年は2015年前後から手がけてきたことで、一段落したものが多くありました。大学の講義もやめ、ラジオも終わりました。(打ち切りは不本意でしたが)ネットショップのメルマガも終了、夜の絲山房も夏から休みましたがおかげでやっと本来の小説のための時間を取り戻せた気がします。去年までの仕事量ではあの厳しい夏は乗り越えられなかったかもしれません。
小説以外の活動では太田市美の「愛でるボタン展」への参加、JLPP主催の英語、仏語の翻訳ワークショップへの参加が特に印象深かったです。
群像『御社のチャラ男』の連載もこの時期に始めることができてよかったです。こちらはまだもう少し連載が続きます。
 
今年連載を終了した『夢も見ずに眠った。』(河出書房新社)と『絲的ココロエ』(日本評論社)はそれぞれ1月、3月に単行本化されます。
2019年は文藝春秋から出す予定の書き下ろし小説『とおい昔の旅のこと』に注力し、春ごろ(?)に単行本化できればと思っています。富山舞台となる逃亡くそたわけの続編も取材などをすすめていきます。
 
1月から、新刊の関係であちこちお邪魔したいと思っています。イベントで読者の方とお目にかかるのを楽しみにしております。
4月で絲山房もまる三年を迎えます。今までとは違うことも企てながら、楽しんで続けていきたいと思っています。具体的な案もいくつかあるので1月から動き始めます。
来年の前半は長期的に何をするかも考えながら、しかしあまり力まずに過ごしていきたいと思っています。個人的にはもっと旅がしたいです。
 
今年もお世話になりました。来年も一緒にたくさん笑えますように!
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


第15回絲山賞

絲山賞は、私が一年間に読んだ本のなかで一番面白かったものに対して個人的に敬意を表しているものです。「自分には書けないもの」を基準に、2004年から毎年12月に選んでいます。これまでの受賞作品につきましては当サイト「プロフィール」から「絲山賞について」をご参照ください。
 
第15回絲山賞は、内田洋子著『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』(方丈社)です。
イタリア山間部の村に、かつて本の行商を生業とする人々がいた。かれらはヨーロッパの出版や文化に大きな影響を与えたーーこの本のテーマである「旅する本屋の物語」は、調べれば調べるほど面白い、とても重要で奥行きのあるエピソードです。
でも、それだけではない。この本には著者の内田洋子さんにしか書けなかったと思わせる唯一感があります。日本から取材班が出かけて行ったのではなく、現地メディアによる紹介でもなく、イタリアで暮らすジャーナリストである著者が、人から話を聞いてこれまで知らなかった村に出かけて行った。つまり旅の話です。本を愛する著者の視線とフットワークによって村の良さもゆかりの人々の魅力も、どんどんひらいていくように感じられます。
当たり前のことを申しますが、旅というものは人間にしかできません。物が動くのは物流です。私たちが日ごろ、本という商品を買うことができるのは物流のおかげですが、なんだか本は今でも旅の方が相性がいいような気もしています。
過去の出来事が未来を照らしているように感じたり、遠い外国の話なのに自分が知っている日本の歴史や山間部に住む人の顔を思い浮かべてしまうのは、筆力の確かさと語りの良さからくるのでしょう。
この本はまさに、内田洋子さんによって書かれることを待っていたのだと思います。その奇跡に心からお祝いを申し上げたいと思います。


太田市美術館・図書館発行『愛でるボタン展 〜アイリスのボタンづくり〜』

 

 


2019ポンチ絵カレンダー 発売中です


絲山房選書

女性自身で連載中のコラム「読んでよし 積んでよし」 これまでとりあげた本の一覧です。コラム連載はまだ続きます。
フリッツ・アートセンターでは絲山房選書として、記事のスクラップを読みながら本を選んでいただけます。
 
1. 『飛ぶ教室』ケストナー(岩波書店)
2. 『宇宙の誕生と終焉 最新理論で説き明かす! 138億年の宇宙の歴史とその未来』松原隆彦(サイエンス・アイ新書)
3. 『ボラード病』吉村萬壱(文春文庫)
4. 『うらおもて人生録』色川武大(新潮文庫)
5. 『戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗』加藤陽子(朝日出版社)
6. 『バッタを倒しにアフリカへ』前野ウルド浩太郎(光文社新書)
7. 「『疲れない身体』をいっきに手に入れる本」藤本靖(さくら舎)
8. 『おそうざいふう外國料理 暮らしの手帖版』
9. 『この国の息苦しさの正体 感情支配社会を生き抜く』和田秀樹(朝日新書)
10. 『迷宮歴史倶楽部 戦時下日本の事物画報』モリナガ・ヨウ(学研プラス)
11. 『夢を読む』、石井ゆかり(白泉社)
12. 『シゼンノカケラ』片桐功敦(京阪神エルマガジン社)
13. 『ルポ 最期をどう迎えるか』共同通信生活報道部編(岩波書店)
14. 『はじめての暗渠散歩 水のない水辺をあるく』本田創・高山英男・吉村生・三土たつお(ちくま文庫)
15. 『ぽっぽこうくう』もとやすけいじ(佼成出版社)
16. 『「おもてなし」という名の残酷社会』榎本博明(平凡社新書)
17. 『プロが教える橋の構造と建設がわかる本』(ナツメ社刊)
18. 『自分の中に毒を持て』岡本太郎(青春文庫)
19. 『牛たちの知られざる生活』ロザムンド・ヤング著 石崎比呂美訳 (アダチプレス)
20. 『のっぽのスイブル155』こもりまこと(偕成社)
21. 『その島のひとたちは、ひとの話をきかない 精神科医「自殺希少地域」を行く』森川すいめい(青土社)


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