Diary

せの字

文房具に派閥があるとするならば、私はガチャック派である。知ってる? ホチキスみたいに紙を留めるんだけど、針で刺さないで薄い金属の板で挟むやつ。ほかに何派があるのか知らないけれど私はなんでもガチャックである。当然原稿もガチャックで挟む。私は何度でも小説を印刷するし、ガチャ玉は何度でも使える。
だんだん書き増して来て「海の仙人」のワープロ原稿が、ガチャック(中)では挟まらなくなった、ちなみに(中)は40枚(大)は60枚と書いてある。大を買う気にはまだならないので、上下巻に分けている。散逸の機会が2倍に増えたことになる。実家に戻ってくると上巻をあっちに置いてたばこを吸っていたり、下巻をこっちに置いてPCに向かったりしている。
「おーいここに原稿があるぞ」と親から声がかかる。別にポルノ書いてるわけじゃないから見られたっていいんだが、うちはあんまりフランクじゃないからなあ。テレビや映画でも性のせの字が出ただけで目線はうろうろ、手持ちぶさた、なんか関係ない話題を探そうと必死になる家だから、なかなかどうして難しい。せの字もつかない小説を書かない限り、こういうことって一生解決しないんだろうな。


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