Diary

キャンター

ノイズばかりの苦しい眠りから覚めると僕は全く正常だった。バカ食いの不安は去っていた。躁でも鬱でもない、ゾテピンが効いているところの正常。今ならなにかが言える、僕を乗せた馬は後肢を力強く踏み込むとゆるやかに駆足を始める。何かから逃げるような興奮したギャロップじゃない、一歩一歩を味わうような、大きな動きのキャンターだ。
まともな気分を感謝したい気持ちを、宗教を持たない僕はどこに向けたらいいのだろう。医者じゃない、薬じゃない、僕の周りに自然はない。僕は生存報告を書く。「生きることと書くこと」は僕に関して言えば変わらない。文章の、どんな小さな兆候でも見逃したくないと思っている、パソコンの前に座ったまま日は暮れ、夜は更ける。


TOP