昔は、夏はもっと真っ黒だった。海水浴が好きで、日焼けするのが好きで、焼けた分だけ夏を楽しめたような気がしていた。今はそれから比べたらまるでへなちょこ。
それでも、炎天下を一時間以上も散歩してくれば、そりゃあ帰ってきてビールの旨いわけだ。これじゃ痩せない。

午前中、ダンスクでセージソングの大きな鉢を買った。サラダボウルに使ううつもりだけれど、煮物なんかをどっさり入れるのにもいい。長いこと、もう十年以上欲しかったけれどなかなか手が出なかった。群馬の食器はありあわせばかりで、いいものはこれくらい。

中日新聞や新潮にゲラを戻しつつ、まだ暇さえあれば寝ている。
またいつもみる夢をみた。大学を卒業できない夢。４年後期の試験だというのに何の科目を取っているのか全く思い出せなくて焦って目が覚めた。

昨夜はジェームズ・チャンスのライブに行った。ちゃんとしたライブになるのかドキドキしていたが、ちゃんとしていた。パット・プレイス（ｇ）とジョディ・ハリス（ｇ）を見られて嬉しかった。でも人入れ過ぎ。ラッシュの山手線のように人がいる。二十年以上前から私は好きだけれど、なんで今、そんなに人気があるのか信じられない。最後気分が悪くなって途中で出てしまった。あのままいたらぶっ倒れてた。

やっと緊張感が解けてきて、ぐっすり寝てよく食べた。

直木賞に関しましては、応援、お気遣いありがとうございました。
私としては終わってほっとしました。これでしっかり自分の時間を作って自分の仕事ができる、安心した、というのが本心です。
群馬にも来週には帰れるし、花火も見たいな、プールも行きたいな、高校野球の決勝は球場に行ってみようかな、などと久々の夏らしい夏を考えています。

落ちたから言うけれど、私はもし受賞したら偽善をやろうと思っていました。賞金の海外への寄付を検討していたのです。とりあえず先延ばしですが、詳しい人にいろいろ教えてもらったりして、とてもいい勉強になりました。それが今回の収穫かなあ。

早朝、東京に戻る。領収書の整理とか靴磨きとかして大人しく過ごす。
夕方、中公と「増刷祝い」でちょっとだけ飲む予定。

今日帰ろうかと思っていたけれど、食材が一食分残ってること、夕方馬に乗ること、明日が生ゴミの日ということで、明朝帰ることにした。今日は涼しいけれど、この夏場、生ゴミと一緒の車で帰るというのはちょっと遠慮したいじゃありませんか。月に二度しかない（すごく不便）燃えない＆資源ゴミの日は今日だったので助かった。

いくらなんでも遅れてる小説すばる連作「ダーティ・ワーク」の第一回worried about you（仮）をやっている。まだ一ヶ月あるといえばあるんだが、普段原稿が早いので、ちょっと焦っている。

プロ野球やプロサッカーチームがないせいかもしれないが、飲み屋なんかで話していても、こっちの人は高校野球や高校ラグビーを、東京や名古屋からしたら信じられないほど熱心に応援している。私は地元ではないから、とにかく甲子園で群馬の学校が活躍すればいいと思っているが、それでも十校くらいはなんとなく贔屓している学校があったりして、トーナメント表をプリントアウトしてネットでチェックしている。もうすぐFM群馬で実況をやるんじゃないかな。準決勝、決勝の頃には帰ってきたい。 私が転勤で群馬に来たのは７月の２０日付けだったが、FMで中継していた高高（たかたか）ー前高（まえたか）戦は、早慶戦やラグビーの早明戦なんかよりずっと盛り上がっていたのを思い出す。あの年がたしか甲子園の「前工旋風」だったんじゃないかな。盆に帰省するなり親に「今年の前工はひと味違うよ」と言って怪訝な顔をされた。その前に帰省したときはばりばりの名古屋弁だったから。お調子者もいいとこだ。

朝からゲラを二つ戻して、エッセイと小説をやって大いに仕事した気分。そして一日二食ばっちり食べる。この季節なのに山が見えて報われた気分になる。本来こうあるべきなのに、どうして東京だと事務処理が仕事だと思ってすぐ煮詰まってしまうんだろう。でも事務処理だってやらなきゃすすまないのだ。この二重生活は今はまだとても貴重だ。東京で同居人が黙って郵便を取ってくれ、ＦＡＸを転送してくれるのもありがたい。
まあ、難しいこと考えるのやめて飯食ってくる。

そうして、この群馬の山の麓に帰ってきた。東京にいたのは２週間だけれど、なんだか酸欠の金魚みたいになってたなあ。ここに来てストレスから解放されることを、主治医は「群馬入院」と勝手に呼んで支持している。

今回は、どうしても１４日までに戻らなければならないのだが、つい調子にのって食材を買いすぎた。賞をいただいてしまうと予定が見えなくなるが、落ちたらまたすぐ戻って来る。ああ、水がうめえ。

朝の体調は最低だったが、うだうだのんびりして、元気になった。