Diary

小説の書き方

風邪が治った、雨もやんだ、白蓮の花はまだ咲かない。俺は部屋で小説を書いている。
小説を書くというのはずいぶん変な行為だと思う。ありもしない話のことで悩む、つじつまが合わない出来事を削除する、ページ一枚で登場人物は年をとる。もう海の仙人の登場人物のことは顔から歩き方まで手にとるように判っている。毎日会う友達みたいに知っている。俺は主人公の話を注意深く聴く。機嫌が悪くて喋ってくれない日もある。背景の日本海は2年前に見たままだろう。
インターネットも不思議だ。会ったことのない人が俺の日記を読んでいる。俺がその人のことを知らなくても、その人が俺の名前や顔を知らなくても、俺のことを半分知っている。


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