Diary

来たるべき野蛮人

小説は自分では鍵を開けられない扉の内側で成長している。どんな顔をしているのか、扉を開けるまで僕にもわからない。
書くことは壊すことだ。扉を開いて、時には泥棒のように鍵を壊して小説に出会う。小説は自分で脱皮できない生き物だ。僕はそれを手伝ってやる。殻を破り新しい皮膚を空気にさらす。殻を割るのは力がいるし、痛い。コツもあるらしい。ときに小説を恐ろしい目に合わせるし、小説の方が期待はずれの痩せっぽちだったりもする。ドアを開いて、時期尚早だと閉じてしまうこともある。小説にとって僕は来たるべき野蛮人だ。


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