Diary

ギャレー

狭い部屋というのは船に似ている。客を呼ぶと本当の暮らしはなくなるけれど、括弧で括られた暮らしに似たことはついてくる。
オトコ、じゃなくて友達とか居候の場合、当番で舵をとるようにどちらかが起きている。なぜ、みんなよく眠るのか、なぜ、私がよく眠るのか。それは狭い空間で沈黙を有すために眠るんじゃないか。案外私が寝過ぎても怒られない。安心して孤独をむさぼっていられるからかもしれない。
船の調理場をギャレーという。白菜や大根のような大物と対峙するにはいささか狭い。コンロは一つしかない。食器が二人分になると洗いカゴの中は点で支えられた混沌と化す。根菜を置くには食器を片づけなければならず、ゴミを置くと通路が阻まれる。
それでも航海は進んでいく。


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