Diary

吹雪のまえ

今日は北国らしい気候となり、空気の冷たさ、吹きつける風、晴れているのに時折舞う小雪など、重装備で来た甲斐があって満足した。いい街だった。取材としてもごく早い段階ではあるが来た意味はあったと思う。結果を出すのは先のことだけれど、悪い見通しはない。
早寝早起きで予定を消化したのが良かった、汽車に乗った途端外が吹雪になった。

人間の順応性はおそろしい。たった一日のことなのに東京に戻ってくると、夜風がそよ風に感じる。編集者も「なんか、ぬるいっすねえ」と言う。結局コートは着ずに手に持ったまま家まで帰る。(2月に北海道から戻ってきたときもそうだった)明日になったらまた寒いとか言ってるんだろうけれど、今、うちでは暖房を炊いていない。


アルパカ60%

東北の某町に来た。天気予報で気温や風速を見て「寒いぞ寒いぞ」と期待していたが駅に降り立つと、なんというか、激辛カレーが全然辛くなかったみたいな気抜け感だ。ババシャツやババもも引き(もっとましな言い方ないのか)は、チェックインするなり部屋に脱ぎ捨てて夜の街に出る。それでも暑すぎるアルパカ60%なのである。今日はちょろちょろ街を歩いて、編集者と飯食いながら打ち合わせをしてとっとと宿に帰る。大事なのは寒さじゃなくて、明日の取材だ。


出張効果

今日は他の仕事は休んで、明日の出張の予習とまとめに集中する。学生の頃、あんなに勉強嫌いだったのに、好きな仕事となったら自然とやるから不思議だ。

途中で頭が疲れたので一時間散歩、汗をかくほど歩いた。ウォーキング・ハイ状態で、奇矯な行動は出来ないが、歩道橋なんか見つけたら駆け登って足に乳酸をためる。


とりたて書くこともない

同居人と横浜に行く。と言っても、同じ家から出て、大した会話もなく電車に乗って、私の用事を手伝ってもらって現地解散。人から見たらなんとも味気ないんだろうなあ。帰ってきてエッセイ。

ここ数日はJWの呪縛から解けて、トモフスキーばっかり聴いている。


ちょっと群馬まで。

朝、車検に出していたクルマが出来た、と電話があり、方向は全然違うのだが取りに行ったその足で群馬に行く。今年中にしなくちゃいけない用事があったためで、日帰りなので温泉も紅葉も蕎麦も何もなしだが、何もなくても群馬が好きだ。夏の名物は雷だが、冬の名物はからっ風だ。ほんとに寒い。マフラーなんかゆるく結んでいたら飛んでしまう。だからこそ山が、最高にきれいなのだ。
そして帰りに、練馬あたりで渋滞して毎度の台詞「あー東京は嫌だ」。


やみくも

新潮社にて「愛なんかいらねー」の三校ゲラを確認。ごく細かい部分に赤字を入れて、これで手を離れた。今年一番難しかった作品。

新潮社から出て、やみくもに歩いていたらいつの間にか文春の前にいて驚いた。私の足は次の仕事を知っているのか、それとも強烈な引力が働いていたのか。でも新作はまだ書けてないから知った人に見つからないようにこそこそと通り過ぎ、またやみくもに歩いた。


暗号のボーナス

インタビューがたくさん新聞や雑誌に出て「最近露出多いねえ」と同居人に言われた。この寒いのにはしたない。
私が似たような行動しかとらないため、日記も一本調子になりがちだ。いろいろ暗号化してみたらどうなるだろう。例えばこんな感じ。

インタビュー→露出
打ち合せ→喧嘩 
取材→鼻くそをほじる
エッセイ→不倫
小説→博打

(凡例。もちろん意図や意味はありません)「朝は小すば、NAVIと不倫。午後、中公と喧嘩、その後角川が3人で喧嘩に来る。メールで露出の依頼新たに2件、これから明け方まで博打。明日は小説現代と東北で鼻くそをほじくって帰りの新幹線で喧嘩」

ああ魅惑の日々。文字で自分にしてあげられるボーナス。
で、日記だった。今日も「博打」と「喧嘩」の一日。


「JWを聴くと辛いものが食べたくなる」

ここ数日、辛いものばかり食べている。アラビアータ、タイカレー、キムチと続いて、なんでだろうと思った。
でも、この「なんで」というのも結構危険だ。「ストレスがたまっているから」とか「ジェームス・ホワイトを毎日聴いているから」とか「髪が伸びすぎたから」とか「恋をしているから」とか「増刷がないから」とか「風が吹けば桶屋が儲かるから」とかそんな嘘はいくらでも作れるのだ。ジェームス・ホワイトだけは本当か。自分を甘やかすための理由づけなんてくそくらえなのだ。
食べたかったから。それ以上は神秘。


今年最後の旅支度

午後、女性自身と和楽のインタビュー。

年末年始で旅行なんてしゃれたことは出来ないが、来週、今年最後の出張がある。書くのはずっと先のことだけれど、どうしても見ておきたいものがある。行き先は東北。旅の支度は大好物で、本当は予定表や切符の手配なども編集者にやってもらうのではなく自分でやりたいのだ。でも、そんな暇あったら資料読んでろ、と言われそうなので黙って天気予報を見たり、地図をプリントアウトしたりしている。一泊だと大した持ち物もないし、普段からでかいカバンを持っているからきっと見た目にも出版社に行くのか東北に行くのかわからないだろう。

寒いところには寒いときに、暑いところには暑いときに行くのが好きだが、今年は2月の北海道や7月の鹿児島に行く機会を得てどちらも満喫できた。

ほんとは私用で年内に群馬日帰りをやりたいのだが、日程が確保できるかどうか。


不定休日

今日だけ、だと思いたいが、どうも気合いが入らなかった。エッセイをやるテンションもなく、ゲラをやる集中力もなかった。やるだけやったが内容が悪いのでやめた。私には定休日も盆暮れもないから、体がそんな日を勝手に作ってくれる。
本を読もうかと思ったが、やっぱり酒にした。


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