Diary

ロドピン

いよいよ躁らしくなってきた。落ち着かない、集中力がない、イライラする、頭に違和感がある。自分の頭じゃないような、頭が木とか石でできているようなそういう違和感だ。試しに砲丸投げの球でも当ててみたい。どんな音がするのだろう。
暴れる代わりに掃除をする。無理やり飯を食う、まだ味覚はある。人と会ったらいけない、人と喋ったらいけない、外に出たら危ない、もう既に暴走は始まっている。曲がりくねった坂を降りていく無人の汽車、加速は止まらない、ブレーキがかからない。
抗鬱剤をやめても何も変わらなかった、リチウムを増やしても効かなかった。ブレーキはある、うちに46包も残っているロドピンでぐったりさせるのだ、ものすごく嫌な気分になって動けなくなる。冷たいセメントで固められたみたいになる。飯食ってると箸がぽろっと落ちて眠ってしまったりするんだ。あんなもん飲むのは嫌だ、自分のなかで多数決で嫌だ。だけど、残った正気の奴が病院に電話をした。先生は朝、夕、寝る前に飲んでくださいと言った。明日病院に来てもいいですよと言ったけれど、ロドピンが効いたらあんな遠くに行くのは難しい。薬の量はあるので様子を見てみますと言った。
薬を飲んだ。ずいぶん前にさ、今年はもう終わりって言ったけど、終わったよ、これで。


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