Diary

感想文その2

「絲山よ この本を読め」感想文です。
第二位 「センセイの鞄」川上弘美(文春文庫)
端正な文体で、入りやすい。読んでいて裏切られる怖さがない。じっくり味わうことができる文章。文庫本だから、旅のお伴にも最適。月並みな喩えだが、気の利いた飲み屋で、酒の銘柄もいい感じだし、器も趣味がいい、料理も気配りが効いていて、もったいないけれどぺろりと食べてしまう、そんな感じ。
しかし。
辛党の私には後味の甘さがどうにも。なんで老人は死ななければならないのか、なんで最後は自己愛みたいになっちゃうのか、前半は良かったのに後半はなんか「センセイ」が都合のいい男になってしまった気がする。「博士の愛した数式」(小川洋子)もすばらしい小説だけれど、結末は一緒だったなあ。

読書感想文を書くと、自分の性格の悪さがもろに出るんだよね。失望した方、ごめんなさい。


TOP