Diary

第二回 絲山賞 発表

第二回絲山賞、発表です。
「うつつ うつら」赤染晶子(文學界10月号)

今年は去年よりはたくさん本を読んだのですが、堂々の単独受賞です。何より、完成度の高い作品世界を買いました。空気感という言葉がありますが、つまりノイズや、密度、ちょっとしたゆらぎまで読者に感じさせることにおいて、今の赤染さんを越える人はなかなかいないと思います。

この作品でもデビュー作同様、人間の滑稽さ、哀しみ、痛み、愛おしさが濃い目の味つけで描かれていますが、この人の場合は、ここまで世界を愛してしまっていいのだと思います。時間と枚数の関係も十分、取れていると思います。

多分赤染さんという人は相当ヘンな人だと思います。でも、まだ少し、自分がヘンであることにてらいがあるような気がします。もっともっと図々しく、当たり前にヘンであって欲しい。そして書くものなんてずっと同じでかまわない。私は読み続けます。

惜しむらくは、単行本が未発売です。来年には出るでしょう。(文春さんよろしくお願いします!)でもまさか帯には「第二回絲山賞受賞作」とは出ないと思いますのでどうぞ気をつけて探して下さい。この人にはこんな賞よりももっとちゃんとした賞を取って一息ついて欲しいなと思っています。


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