Diary

「離陸」について

「離陸」の連載を文學界12月売りからはじめます。第一話はもう少しで仕上がります。昨日は第二話以降の打ち合せをしました。「離陸」は、デビュー前2002年頃から企画としては持っていたけれど(新人賞を受賞した日に編集者に打ち明けた記憶がある)、何度トライしても当時の技量では歯が立たなかった。でも、今が書き始める時期だと思ったので連載をさせてもらうことにしました。

打ち合せでは、雷に打たれたような、震えが来るようなことが何度もありました。ずっと持っていたいくつかのエピソードの意味が解明され、また新しいことが降って来るたびに「とんでもねー話だ」「おっかねーよこれ!」と大きな声を出したほど(もちろん打ち合せの主要な部分はしらふです)。

物語は三部構成となります。第一部は淡々とした文体で立ち上げるけれどストーリーは次第に混迷を極め、第二部ではエンタメまがいの仕掛けも使い、第三部で美しい物語としての着地を試みたい。連載は1年では終わらないと思います。たくさん勉強もしなくてはなりません。ちゃんと書けるか、書いてるうちに発狂しないか心配。でも「作家の超然」や「不愉快〜」と方向は全く違います。私の思うところの純文学的なハードルじゃないんです。いままで書いたことのないタイプのものです。

 

最初からSpecial Thanks もおかしいですが、去年の11月に仙台に伺ったときに、伊坂幸太郎さんにお目にかかってこの小説のことを相談させていただきました。初対面だったのに伊坂さんとお話しているうちにたくさんのことが急にわかって、やっと連載開始にこぎ着けることができました。こんな場で失礼ですが、伊坂さんには心よりお礼申し上げたいと思います。(もちろん編集者経由でもお礼の手紙を書きたいと思っています)。このHPのインタビュー2で、伊坂さんに関する質問があり、回答をずっと保留してきましたが、具体的な設定や技術の指導ということではなく、発想の部分でお世話になったことをご報告します。


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