Diary

緑の先生

今夜、某出版社に勤める大学の同級生と一緒に会う生物学の先生は早稲田ではちょっとした有名人だった。着ているものに必ず緑色が入っているのだ。緑のスーツに緑のコートなんて日も結構あった。緑の万年筆で書く字は緑のインクだったし、試験監督のアルバイトで教授の推薦が必要だった時には、朱肉ならぬ緑肉で判子を押して下さった。お住まいまで緑にちなんだ地名だ。徹底している。
授業は講談を聴いているみたいで面白かった。「あはれシマウマ食べられる運命!」とか、そういう語り口だった。私達はこの先生の一般教養ゼミに入っていたので、よく食べ歩きにも連れていっていただいた。大学で懐かしいのはこの先生とゼミの先生だけだ。(父にも習ったが別に懐かしくはないわな)大学を卒業して13年が経って、先生がお元気なことが嬉しい。
やっぱり、無職の時だったら会えなかったと思う。先の見えない新人ではあるが、一応、作家になりましたよという報告が出来るのはありがたいことだ。


TOP